今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
影を深める
今週のかに座は、「かなしみの向こう側でなにか深いものに触れていこうとするような星回り」。
「ひややかに日輪蝕し風絶えき」という句を詠んだ高橋淡路女は、結婚した翌年に夫と死別し、その後まもなく生まれた父なし子を育てながら、ひたすらに句作に励んでいった女性です。
日輪、すなわち日の光の穏やかなまるさが突如として失われ、ぴたりと風が止んで世界が暗く陰っていく。それは彼女にとって突然の発病で夫を亡くしたこと、その運命がもたらした苦悩のあとの静けさと、顔に差した「ひややか」な陰影とに重ねずにはいられないでしょう。
いまのかに座の人たちもまた、そんな彼女のように人をすっかり深い顔へと変えてしまうような出来事や思いへと、存在ごと引っ張られていきやすいように思います。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
声なき声の浮上
今週のしし座は、「何か言わずにいられぬような切迫感が充溢していくような星回り」。
「蟇だれか物いへ声かぎり」(加藤楸邨)という句が詠まれたのは、昭和十四年(1939)。多くの国民が自由に思ったことを口に出せず、物の言えない時代であり、作者はそんな当時の民衆、そして自分自身の姿を鈍重な蟇(ひきがえる)に重ねたのです。
ただその一方で、作者には本当に言うべき言葉、告げたいことというのは、胸の中に秘めておくべきことなのだという気持ちもあったのかも知れません。
気軽に物言えぬのなら、どこまでも冷静に時代の動きを見つめてやろう、それを俳人としての自分のポリシーにしよう、そんな思いの萌芽が既に掲句には込められていたのではないでしょうか。
今のあなたもまた、そんな作者のように本当に誰かに告げるべき言葉が静かに、しかし着実に自分の中に積み上がり、育ちつつあるのを感じていけるはずです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
赤ん坊に枠はない
今週のおとめ座は、「効率性や計画性とは無関係なところで何かを始めていこうとしていくような星回り」。
おとめ座の人たちはともすると「タスクリストに書いたことは全部こなしたけれど、自分の枠の外へ出て何が起こるか試したことは一度もない」といった事態に終始しがち。
しかし今回の日食新月は、そうした流れを打ち破る絶好のタイミングと言えるでしょう。
赤子が全身で母親の乳を吸い、眠くなればその胸で寝てしまうように、今週のおとめ座は、どれだけ何の衒い(てらい)もためらいもなく自身の生を謳歌していけるかが鍵となってくるはず。
まずは自分心臓の鼓動を感じ、その高鳴りのままに何かを始めてみることです。