人間関係がうまくいかなくなる原因
なぜ、わだかまりが解消されず、人間関係がうまくいかない状況に陥ってしまうのでしょうか?
その原因として考えられる主なものが、次の3つです。
(1)自分が絶対に正しいと思っている
不満を持つのは、「私の考えは正しくて、相手が間違っている」と思っているからです。
例えば、反抗的な態度の新人との関係がうまくいってない時。
その新人に対して、心の中では「もっと素直に先輩の話を聞いてほしい」「新人なんだから謙虚であるべきだ」といったことを思っているでしょう。
この時は、「自分は正しく相手が間違っている」というスタンスになっています。
そして多くの場合、相手も同じように「自分は正しくて、間違っているのは相手だ」と思っています。
両者が互いに自分の正当性を信じて疑わず、自分が絶対に正しいと思って相手を否定的に見ている限りは、わだかまりが解消されなくても当然だと言えます。
(2)相手の立場を考えようとしていない
互いに「自分が正しくて相手が間違っている」と考えていると言いましたが、それでは実際に正しいのはどちらなのでしょうか?
実はどちらも正しいのです。
どういうことか説明しましょう。
チェックが細かい上司との関係がうまくいっていない時、上司に対して「今まではそんなに細かくチェックされなくてもうまくやっていた。かえってやりづらくなる」と思っているのは、それは事実であって決して間違いではありません。
一方、上司は上司で「自分が責任者なのだから、絶対にミスのないように管理したい。今までもこのやり方でやってきた」という思いがあるのかもしれません。これはこれで間違ってはいないでしょう。
要するに、各々が各々の立場で正しいことを考えているのです。
各々の言い分に隔たりがある中では、意思疎通をして調整を図り、双方にとって納得のいく結論を見出す必要があります。
そのためにはまず、相手の立場も考えることが重要です。そうしない限り、互いの距離は永遠に埋まらないのです。
(3)わだかまりの解消は無理だと諦めている
わだかまりは、話し合いなくして解消されることはありません。
私たちは、日常的にちょっとした意見の食い違いを話し合いによって解決できています。
しかし、わだかまりに発展するような時には、なぜかうまく話し合いができません。話し合いの場を持つことすらできなかったりします。
話し合いがうまくできない時、私たちは、「ディスカウント」をしています。
ディスカウントとは、心理学の1つである交流分析の専門用語で、「過小評価をする」「低く見積もる」といった意味合いです。
例えば、話し合いができない時には、次のようなディスカウントをしています。
「どうせ聞く耳を持たないだろう」(相手が話を聞いてくれる可能性をディスカウントしている)
「どうせ理解してくれないだろう」(相手の理解力をディスカウントしている)
「どうせ何を言っても無駄だろう」(問題が解決する可能性をディスカウントしている)
問題が生じて悩んでいる時、私たちはさまざまなディスカウントをついやっています。
その結果、解決に向けて行動することを最初から諦めてしまい、悩み続けることになるのです。