毎日ハッピーなわけじゃないし、無性に独りになりたいときもある。そんな物思いにふけりたい夜にぴったりな、ディープな恋愛映画を3本ご紹介します。
ご紹介していく順に作品の重みが増していくので、ライトなものから鑑賞したい方は『愛がなんだ』から観るのがおすすめですよ◎
愛がなんだ(2018)
illustration by Sachiyo
公開前から、岸井ゆきのさんと成田凌さんのイチャイチャ映像が話題になっていた作品。岸井さん演じるテルコは成田さん演じるマモルに恋をしており、時には周りが見えなくなってしまうほどのめり込んでしまいます。もうお風呂も済ませて寝ようとしていたのに、マモルから連絡がくれば何事もなかったかのようにすぐに返事をしてしまう。
盲目になる恋を経験したことがある方は、「あるある…」と思ってしまうようなシチュエーションが何度も出てきます。それだけテルコはマモルのことが好きなのに、マモルはそう思っていないようで…。
自分が流されているのはわかってる、もっとちゃんとしなきゃいけない。そう思っていても、感情が揺さぶられて思い通りにならない時もありますよね。この作品は、そんな“分かるけどなんとなく嫌”な部分をたくさん見せ付けてくるんです。
そして本作でいい味を出しているのが、若葉竜也さん演じる「ナカハラ」。彼もまた望みの薄い恋をしており、テルコと同じようにモヤモヤとしながらも、今の状況に納得して過ごしています。彼とテルコがお酒を片手に、結論の出ない話をしているシーンが印象的ですよ。
きみの鳥はうたえる(2018)
illustration by Sachiyo
ただひたすら3人が、だらだらとお酒を飲んだりクラブ行ったりして過ごす、ひと夏を描いた作品。柄本佑さんや染谷将太さん、現在放送中のドラマにも出演している石橋静河さんといった、実力派のキャストがそろっています。原作者・佐藤泰志さんの小説を映画化したものですが、原作とは異なり舞台を函館に移して制作されました。
ひょんなことから関係を持った「僕」と佐知子は、気付くと恋人のような関係に。側から見れば普通のカップルですが、「僕」と同居する静雄が佐知子をデートに誘っても気にするそぶりをしなかったり、佐知子との関係をはっきりと明言しなかったり…。歪な関係ながらも、3人は頻繁に会うようになり、濃い時間を過ごすようになります。
劇中でたびたび気になるのが、「僕」がはぐらかすシーンの数々。いい雰囲気のところで茶化すようなことを言ったり、佐知子に詰められても曖昧にして答えたり…。そしてある日、佐知子と静雄は2人でキャンプへ。帰ってきた2人は、明らかに何かあったような雰囲気でした。
最後のシーンでは、2人の関係がどうなったのか詳しく描かれていません。佐知子の繊細な表情にも注目してみてくださいね。
そこのみにて光輝く(2013)
illustration by Sachiyo
今回ご紹介する3本の中で、1番重い作品です。観ているあいだも苦しいのですが、観終わった後にずしんと胸にのし掛かるような重みが感じられます。ちなみにこちらも、先ほどの『きみの鳥はうたえる』と同じ原作者・佐藤泰志さんの小説を元にした作品。本作を含む『海炭市叙景』『オーバー・フェンス』の3本は、「函館3部作」と言われています。
愛を諦めた男女2人が出会って結ばれますが、恋愛映画によくあるような順風満帆なカップルとはかなり違います。大きな声では話せないような秘密や過去を抱えた様子がとても苦しく、痛々しく描かれています。
そして綾野剛さんや池脇千鶴さんの繊細な演技ももちろんなのですが、菅田将暉さんがとても印象的。歯を黄色くしてみたり、ヤンキー感が漂うプリンの髪色にしてみたり…普段の菅田さんとはまるで違う、フレンドリーだけど荒っぽい拓児を演じています。彼もまた、とある事件を起こしてしまいます…。
愛を求めているものの、一筋縄にはいかない3人の関係に注目して鑑賞してみてください。