どうしても冷凍、解凍を繰り返すとおいしさを損なってしまうお肉……。そんな問題を解決すべく肉のプロが教える「肉の冷凍方法」を大公開!ポイントは5つ。今まで知っているようで知らなかった新常識に驚くこと間違いなしですよ。
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プロが教える「肉の冷凍」新常識
この記事は、三越伊勢丹が運営する、らしさに出会える、食メディア「FOODIE」の提供でお送りします。
ふだん何気なく行っている肉の冷凍保存。状態が変わりにくく日持ちもして便利。と思いきや、実はけっこう味が損なわれているってご存知でしたか?
肉のプロが「冷凍は決しておすすめしたくない」と断言するほど、味に違いが出るんです。
でもやっぱり、まとめて買って食べきれないときは冷凍したい……そこで、美味しさを極力損なわない肉の冷凍方法を、肉のプロ・伊勢丹新宿店I’S MEAT SELECTIONの岩田晴美シェフに教えてもらいました。
「冷凍焼け」と「酸化」を防ぐことが大切
「肉の冷凍は便利には見えますが、美味しさを大切にするなら、やはり買ってすぐ召し上がっていただくのが一番。店頭に並んでいる肉は、その日に食べて一番美味しい状態になっていますから、冷凍保存は『すぐに食べられないとき』に限ってほしいですね」
冷凍保存の方法を説明する前に、岩田シェフはそう前置きします。
「冷凍するということは、肉が空気や温度・光の変化にさらされる時間が長くなるということ。そうすると『冷凍焼け』を引き起こし味が落ちてしまうんです」
冷凍焼けとは、肉が乾燥や酸化をしてパサついたり風味が落ちたりしてしまうこと。冷凍焼けした肉は加熱するとさらに水分が飛び、ジューシーさが失われてしまいます。また、肉は酸化すると茶色に変色したり嫌な臭いになったりするため美味しく食べられなくなるんだそう。
「逆にいえば、冷凍するときはできるだけ早く冷凍して乾燥や酸化を防ぐことで、極力美味しさを保つことができるんです」
【冷凍のコツ1】赤身はNG! 脂の多い肉を選んで
シェフによると、まず肉質によって冷凍に向くもの・向かないものがあるんだそう。向かないものの代表が赤身肉。含んでいる鉄分と水分量が多いため、冷凍は避けた方がいいんだそう。
「赤身肉に含まれる鉄分は、空気中の酸素と結びついて肉を酸化させます。また肉が含んだ水分は凍ったときに体積が大きくなるため、細胞を傷つけることでドリップが出やすくなるんです。赤身肉よりは冷凍保存しやすいのが霜降り肉。脂肪分が鉄分をコーティングしているので酸化しにくい傾向があります」
【冷凍のコツ2】すぐ凍りやすいスライスを。ひき肉はNG
「肉を冷凍保存する際は、肉が素早く凍りやすい形状であることも重要です。肉の中の水分が凍るときは、時間がかかるほど氷の粒子が大きくなり、細胞が傷つきやすくなります。できるだけ早く凍らせられるよう、スライス肉を選ぶようにしてください」
それなら最も冷凍に適した形はひき肉なのでは?
「ひき肉は表面積が多いので酸化しやすく冷凍には不向き。おすすめできません」
ちなみにすでに冷凍された状態で販売されている肉は業務用の冷凍庫で急速冷凍(あるいはCAS冷凍※)されているため美味しさが損なわれにくいのだとか。調理する直前まで冷凍庫で保存しておいてOKです。
※CAS冷凍……正式名称はセルアライブ冷凍。細胞の中の水分子を振動させた後に瞬時に冷凍させることで水分の氷結晶化を抑え、細胞が傷つけられるのを防ぐ冷凍方法。
【冷凍のコツ3】オイルで空気を遮断する
酸化させないためには、肉を空気に触れさせないことが大切。肉をオリーブオイルでコーティングするのがプロのテクニック。バットや皿の上にラップをしき、肉をのせたらまんべんなくオリーブオイルを振りかけ、全体にまぶしてからラップで包みます。包むときは、冷凍・解凍の時間に差が出てしまわないようにできるだけ平らになるように心がけましょう。
スライス肉の場合は速く凍ってしまうため、オリーブオイルによるコーティングは不要です。
【冷凍のコツ4】アルミホイルで光を遮断する
ラップのうえからさらにアルミホイルで肉を包み、オイルが漏れないよう冷凍用の保存袋に入れます。アルミホイルで包むのは、冷凍庫の開け閉めで入り込む光を遮断して変質を防ぐため。包んだら平らな形のまま冷凍庫へ入れます。この際はできるだけ温度が低くなっていそうな場所を選んでください。