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[映画とパスタ]シェフの気ままな休日レシピ vol.2「食べて、祈って、恋をして」

どんよりとした雲が広がる低い空。家を出るのが億劫になるこんな日は、観ているだけで気分が晴れるような物語に没頭したい。そんな気持ちで手に取ったのは、「食べて、祈って、恋をして」。食欲をそそるこの映画には、旨みの強いあのパスタが合うはずだ。

toshikiwatanabe

食べて、食べて、「食べて、祈って、恋をして」

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© 2010 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

さっきまでの清々しい青空が厚い雲に覆われて、正午を過ぎたばかりというのに日没みたいに薄暗い曇天の空の日曜日。女心と秋の空とはよく言うが、冬の空も似たような顔を見せることがあるらしい。

どこに出かける気もおきないこんな日は、ゆっくり映画でも観ようか。先日買ったイタリアの白ワインもよく冷えている。

今日の映画は、この空のような女心を題材とした映画「食べて、祈って、恋をして」にしよう。

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© 2010 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

物語は、主人公のリズ(ジュリア・ロバーツ)が悩み、傷心して一年間の自分探しの旅に出るところからスタートする。舞台は3ヶ国。リズは最初に訪れたイタリアで、魅力的な食事を豪快に頬張り、人生を楽しむことを大事にする文化「Dolce far niente」を大いにエンジョイする。

ここで描かれる享楽的なシーンの数々に過剰な演出はほとんどない。事実、イタリアの人は食べること飲むことが大好きで、友達と集まっては大げさなジェスチャーを交えながらいつまでも語り合っている。笑顔の絶えない国だなと思うことが多い。

インドではヒンドゥー教の教えに傾倒し、バリでは新たな恋に出会う。そうした経験を重ねる中で、穏やかにリズが成長して行く、そんな映画だ。

食欲を大いにそそる、おいしそうなシーンの数々

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Photo by macaroni

実のところ、この作品には大きな問題がある。リズのイタリアでの日々を描くパートに魅力的な食事シーンが多く、観ていてやたらとお腹が空くのだ。インド、バリのパートにも素晴らしいシーンはたくさんあるのだけど、その頃にはお腹がグーグー鳴っていて、「今夜は何を食べようか」で頭の中がいっぱいになってしまう。作品の後半、物語のクライマックスを集中して観ていられない。

そんな問題を解決すべく、映画を観ながら食べられるパスタを作ることにした。

舞台のひとつとなったローマに関わりのあるパスタで、かつ買い出しに行かなくても調理に支障のないものを考えながら冷蔵庫を開けてみる。ベーコンが何枚かと玉ねぎ、トマト缶を見つけたら、アマトリチャーナづくりの始まりだ。

イタリア生まれの伝統的かつポピュラーなパスタ料理、アマトリチャーナ。その名の由来はローマの北東100kmほどにある小さな町、アマトリーチェ。山岳地帯で冬の間は生鮮食品が入りにくいからか、保存食だけでも十分おいしいひと皿になる。

「アマトリチャーナ」のレシピ

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Photo by macaroni

▶材料(2人分)

・ブカティーニ(なければスパゲッティでも可)……220g
・ベーコン厚切り……100g
・ニンニク……1かけ
・玉ねぎ……1玉
・白ワイン……50cc
・乾燥オレガノ、パセリ……各少量
・トマトホール缶……1缶
・ペコリーノチーズ(なければパルメザンチーズでも)……適量
・オリーブオイル……適量

▶作り方

①フライパンにオイルを引き、潰したガーリックを入れて弱火にかける。

②香りがオイルに移ったらベーコンのざく切りを加え、カリカリになってきたら玉ねぎのスライスを入れてしんなりするまで炒める。

③白ワインを少し入れてアルコールを飛ばしたら、手で潰したトマトホールと乾燥バジルとオレガノを少し入れてひと煮立ち。

④茹で上がったブガティーニ(中央に空洞のある太めのロングパスタ)を加え、ゆっくりソースを染み込ませる。この待ち時間もおいしく仕上げるための大事な要素だ。

⑤お皿に盛ったらオリーブオイルとペコリーノチーズをたっぷりかけて、ついに完成。食べてる途中で味に飽きたら、唐辛子のオイル漬けを入れて味を変えるのもおすすめだ。

ベーコンにもペコリーノチーズも塩味があるので、味付けは慎重に。味が濃すぎれば、おのずとワインが進み過ぎてしまう。映画の最後には酔っ払い……なんてことになったら目も当てられない。

ワインの量はほどほどにして、アマトリチャーナをフォークに巻きながら、食と祈りと恋が彩る旅をエンディングまで楽しむとしよう。

▶作品情報

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