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ハサミを入れると模様が変わる!驚き度120%のテキスタイル

インテリア

遊び心あるテキスタイルを発表し続ける氷室友里さん。日本とフィンランドでテキスタイルを学び、幅広く活動しています。2017年秋には、インテリアデザインの国際見本市「インテリア ライフスタイル リビング」で「Young Designer Award」を受賞。いま注目のテキスタイルデザイナーです。

氷室さんの代表作「SNIP SNAP」シリーズ

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「昔から、作ったもので人を驚かせたり、どうやったら楽しんでもらえるかな?と考えるのが好きでした」という氷室友里さん。テキスタイルブランド「YURI HIMURO」の代表作といえるのが、使い手が自由にハサミを入れて柄をアレンジできる「SNIP SNAP」シリーズです。
「フィンランドでジャガード織の勉強をして、布を構造から考えるようになってから、様々なアイデアが生まれるようになりました」(氷室さん)。
ジャガード織とはタテ糸を1本ずつ動かして複雑な模様を織る技術を活用したもの。「SNIP SNAP」シリーズの大きな特徴は、一枚の布が二重の構造になっていることにあります。

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たとえば「SATOYAMA」。これは、氷室さんが訪れた岡山県の西粟倉村からインスピレーションを受けてデザインしたものです。西粟倉村は岡山県の最北東端に位置し、面積の約95%が森林におおわれた村です。

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ヒノキの森をイメージした濃いグリーンの糸にハサミを入れると、現れるのは水色の川。カットする場所によって、川をつなげたり山から滝を流したりできるので、使い手によって「SATOYAMA」の風景は新しい表情を見せます。

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また「HAKKUTSU」は、濃淡のある黄色の部分に注目してみてください。地面を掘るようにハサミを入れると、中から恐竜の骨や土器などが現れる仕掛けになっています。いったい何が発掘できるのか、ハサミを入れる度にワクワクしますね。

凹凸が変化をもたらす「MOTION TEXTILE」シリーズ

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テキスタイルの柔軟性に注目した「MOTION TEXTILE」シリーズは、収縮する糸を活用して、布の表面に蛇腹のような表情を持たせたテキスタイルです。ひだのような凹凸をつくることで、左から見たときと、右から見たときの柄の見え方が変化するのです。

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たとえば「sakura」は、布の右側から見ると夏の緑が生い茂る桜の木に見えます。そして、立つ位置を左側に変えて見てみると、春の花びらが舞う桜の木が現れます。
「MOTION TEXTILE」シリーズは、プロトタイプとして制作されたものです。現在のところ販売は未定ですが、テキスタイルの柔軟性を生かした新しい作品の登場を予感させます。
「アイデアが形になった時はとても嬉しいです。あと、最近はSNSなどでお客さまがSNIP SNAPをカットしたものや、布で作ったアイテムを投稿してくださったりして、楽しんでいただける様子を見るととても嬉しい気持ちになります」(氷室さん)。

作ることが楽しくなる新ブランドが始動

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2018年1月には、生地メーカーKOKKA(コッカ)から、新ブランド「TOY FABRICS by YURI HIMURO」がスタートしました。
「新ブランドの立ち上げは、KOKKAの担当の方が個展に来てくださったのがきっかけです。ご家庭で縫製をされる方に向けた素材としての布を展開していきます」(氷室さん)。
最初のコレクションとして発表したのは、リバーシブルの生地「Animal migration」。BEAR、FISH、RABBIT、DUCKの4パターンで、1枚で2つの柄が楽しめます。
「表の動物と裏の足跡が、縦に接いでも横に接いでも繋がるように描かれています。ポケットやバッグの底面の切り替え、パッチワークなど、これ一枚で色々なストーリーが作れるようにデザインしました」(氷室さん)。

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新ブランドのコンセプトは、作ることが楽しくなるような生地。「TOY FABRICSはこれからも、ご家庭で行う生地を使ったものづくりがもっと楽しくなるような、ワクワクする布を展開していきたいと思っています」(氷室さん)。

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遊び心があり、テキスタイルの新たな可能性を感じる氷室友里さんの作品の数々。仕掛けや工夫が詰まっているからこそ、使い手が布にハサミを入れたり何かを作ったりすることでデザインが完成するともいえるでしょう。次はどんなテキスタイルが登場するのか? 氷室さんの今後の活躍から目が離せません。

photo / YURI HIMURO

YURI HIMURO

インスタグラム:https://www.instagram.com/himuroyuri/

http://www.h-m-r.net/
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