isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
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2021年上半期の運勢も配信しているので、こちらもぜひチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
文体練習
今週のおひつじ座は、「ふと…」した日常の新たな価値を実感していくような星回り。
高野文子の「バスで4時に」という漫画作品は、ただ単にバスでどこかへ行くという話。主人公の女性がバスの席に座っていて、自分の目の前にシュークリームの箱がある。その中に8個入っていることを思い出した上で、「あちらが3人、あたし入れて4人。後から遅れてもうひとり、3つあまる…」などと計算していきます。
そして、不意に前の座席の下のボルトを見る。ボルトを見ていると連想が働いて、次第にねじ回しのイメージにズームアップしていき、このへんから発想が飛んでいきます。何だか分からないでっかい機械が動いているイメージになり、この機械が下から「ゴー」という音を立てて上がってくる。じつはこれはファスナーで、それを上まであげて襟を折る、というところで見開きが終わるのです。
ふつう、わざわざ作品にしようとは思わない情景ですが、彼女はふとした瞬間に、自分の想念がぜんぜん脈絡なく運んでいくイメージとか、その時間経過についてこれだけのコマと手間を使って描いている。それは、とても豊かで創造的なことなのでは。あなたもふとした瑣末な日常の瞬間にこそ、もっとも味わうべき価値があるのだということをみずから示していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のおうし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いのちあおあお
今週のおうし座は、身の上に起きるいろいろなことを柳のように受け流していくような星回り。
「恋々として柳遠のく舟路哉」(高井几董)の「恋々として」は、未練の気持ちが捨てきれず諦められないさまを表わしていますが、そのまま読むと七音で字余り。「恋々と」なら五音におさまるにも関わらずわざとそうしなかったのは、おそらくは女性だろう作中主体の、いつまでも尾をひいていく想いをそこに重ねたのでしょう。
川が流れるというのは、時間が流れることのメタファーですが、本当は「意識が流れている」のであって、これは前を見ることができないということでもあります。私たちは、いわばバックミラーごしに過ぎ去っていくものを見ることで、心の中でそれを起こし、それを言葉にしていく。
逆に言えば、私たちは自分の心が作り出した事物の“影”に囚われていて、逃れることができない。えんえんと柳から遠ざかり続けている。つまり「柳」は影に対する本当のリアリティであり、すべてが流れさっていくなかでいつまでも残り続ける緑であり、これは「ただ在る」ということに他なりません。あなたもいつまでも年をとらない「いのち」を感じ取って、そこに安らいでいきたいところです。
今週のふたご座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
顔の深みと視線の置きどころ
今週のふたご座は、想像力を閉ざさず、開いていこうとするような星回り。
「自殺とは想像力の断絶である」という言葉は、前後の文脈は忘れてしまったのですが、中学3年の時に国語の先生が授業中に発した言葉。以降ずっと頭のすみにあるのですが、それと似たことを19世紀アメリカの哲学者ジョサイア・ロイスは次のように述べていました。
「あなたは、(あなたの隣人の)考えや気持ちをあなた自身のそれとはいささか異なったものとみなしている。あなたは言う。『隣人の痛みは私の痛みとは異なっており、私の痛みに比べればはるかに耐えるのが容易なのです』と。あなたの目に映る隣人は、あなたほど生き生きとした存在ではない。…ぼんやりとそして何も考えず、隣人のことを分からぬまま見ようともせず、ともに生きている。あなたは、(隣人を)自我をまったくもたぬひとつの物となしている。」
これがつまり想像力の断絶ということであり、私たちは緩慢な自殺のさなかにあるのかも知れません。想像力を閉ざしてしまうのは、おそらく隣人の、恋人の、親の、本当の気持ちを知ることが怖いからでしょう。あなたもまた、他人も人であると単に口にするだけでなく、腹の底から理解していくということがいかに困難で、だからこそ大切なことであるかを、改めて実感していくことになるはず。