家計簿・家計管理アドバイザーのあきです。子どもの教育費が高すぎて支払いに困っている人はいませんか? 子どもの教育費は大切にしたいと思う反面、高すぎるのも困りものですよね。ここでは、家計簿・家計管理アドバイザーが「将来的に困らない教育費の考え方」を紹介します。
教育費で将来的に困らないために
子どもがいる世帯の教育費の負担は大きいものです。そのため、教育費の負担が大きくなりすぎて家計が破産してしまうなど、深刻な問題を引き起こしてしまう人が後を絶ちません。
子どもの教育費は、子どものためにもしっかりかけてあげたいと思う反面、どこまでかけても大丈夫なのか心配になってしまう人も多いでしょう。
そこで、今回は「教育費で後悔しないための方法」を紹介します。これまでご相談をお引き受けしてきた過去の実際の事例についても紹介しますので、参考になさってみてください。
教育費の負担が大きすぎて破産寸前!?
「実は教育費の負担が大きすぎて破産寸前なんです……」とご相談に見えた40代後半の主婦Aさん。
Aさんご夫婦は、私立の大学生と私立の高校生のお二人のお子さんがいらっしゃいます。
「上の子が大学へ進学するにあたって、国の教育ローン350万円を借り入れました。続いて来年は下の子も大学に進学する予定なので、近々さらに350万円の借り入れを行う予定です。
これまで貯蓄は一切行ってこなかったので、貯蓄はゼロです。住宅ローンに車のローン2台分、加えて国の教育ローンの支払い二人分まで始まってしまい、支払うものを支払うと生活費がほとんどありません。車がないと生活できない地域なので車も手放せませんし、どの支出も必要な支出なので、節約するところもみつかりません……」
住宅ローンの支払いの残りが約2,000万円、車のローンの残りが約250万円、国の教育ローンで700万円と借金が多く、支払うものを支払うと、生活費は月10万円も残りません。大人と同じように食べる子ども2人とあわせて4人分の食費とガソリン代と日常的な支払いだけで精いっぱいだと言います。さらに、私立大学の学費はひとりにつき4年間で約450万円。ひとりにつき350万円の借り入れでも足りず、残りの学費の支払いにも困っていました。
このようにAさんのように教育費の工面で苦労している人からのご相談は非常に多いのですが、Aさんのような苦労は避けられないものだったのでしょうか。
次のページでは、教育費で後悔する「2つの失敗ポイント」を紹介します。
教育費で後悔する2つの失敗ポイント
Aさんのような家計になってしまう原因は、主に2つあります。
1つ目は、子どもが小さいうちに将来の備えをしてこなかったこと
2つ目は、安易な選択を繰り返してきたこと
以下、具体的に解説します。
1子どもが小さいうちに将来の備えをしてこなかったこと
Aさんご夫婦は、子どもの教育に大変熱心でした。お子さんが小さいうちから習い事を始め、塾にも通わせました。二人の子どもが小学校高学年になる頃には、習い事の支払いでいっぱいになり、貯蓄ができなくなりました。それでも、「子どもの将来のため」「将来のことは何とかなる」とお子さんの教育を第一優先にしてきました。時には借り入れをして生活費を賄うようなこともあったといいます。
Aさんご夫婦のように、お子さんの教育に熱心になるのは素晴らしいことです。しかし、子どもが小さいうちから身の丈以上の背伸びを繰り返してしまうと、当然貯蓄はできなくなります。お子さんが小さいうちの貯め期に貯蓄ができないと、老後にまで大きな影響がでる可能性もあります。
将来のリスクも考え、ある程度の貯蓄を残しながら、できる範囲でお子さんの教育に力をいれることで、Aさんのような家計になることは防止できます。
2安易な選択を繰り返してきたこと
Aさん夫婦の行動の基準は「思いつき」でした。住宅ローンの金額も返済期間も「なんとなく」で決め、将来の計画は立てていませんでした。車のローンも、お子さんの学費がかかる時期は外すなどの工夫は思いつきもせず、買い替えたいときに買い替え、ローンの返済額にも無頓着でした。
お友達が私立を受験をすると聞けば私立の学校を選択するなど、支払い能力を無視した選択が続きました。
Aさん夫婦は、「お金が足りなくなったら借りればいい」と考えていたところもあり、「なんとかなるだろう」が通用しないほどに負債が積みあがり、初めて「なんともならない」ことに気づいたのです。
お子さんの教育費をしっかりかけたいのであれば、お子さんが小さいときから、本格的に教育費がかかる時期を見据えた選択を積み重ねることが、重い教育費負担に耐えうる強固な家計を作ります。
お子さんが小さいときに、まずはライフプランを考えて、いつ頃に教育費が最も重くなるのかを把握することは大切です。またその時期には車ローンの返済などが重ならないように工夫したり、ご家庭に合った子どもの学校選びをしたりするなど、支払い能力を考慮した選択をしていきましょう。