今週のみずがめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
生活に祈りを取り戻す
今週のみずがめ座は、拝む神とその儀式次第を再確認していくような星回り。
「木守柿万古へ有機明かりなれ」(志賀康)の「木守柿」とは、柿の実をもぐとき、来年の柿の豊作を願って、あえてただ一つ木の上のほうの柿をもがずに残しておくもの。それを「有機的な明かり」に見立て、永久に変わらずに灯っていていてほしいと詠んでいる訳です。
ひとつだけ樹上に残され、夕日に輝く「木守柿」は、蛍光灯などの無機的な明かりとは異なる、「有機」的な、どこかぬくもりや自然な温度感のある明かりとして、まだ電気の通っていなかった時代から人々を励まし続けてきました。
そうして人々の幸せを「万古(ばんこ)」すなわち遠い昔から現在に至るまでの長いあいだ照らし続けてきた「木守柿の明かり」に託された願いとは、単に物質的な豊かさばかりに限ったものではなく、人間と自然との本質的な結びつきが失われつつある現代にあって、その回復を企図したものなのでしょう。あなたもまた、自分なりに祈りを捧げていく対象やそのための設えを整えていくべし。
今週のうお座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
敬意をめぐらせる
今週のうお座は、これまで打ち捨てられ、顧みられなかったものに、改めて向き合っていこうとするような星回り。
後に『ゲーテとの対話』として、文学史上にその名を刻む不朽の人生指南書を書いたエッカーマン。彼が70過ぎの老ゲーテに会いに行った時、彼は29歳の凡庸な新進作家に過ぎませんでした。ゲーテをしても、初対面の彼に時代を切り開く才を見出すことはできなかった代わりに、みずからの人生の記録係として彼以上の人物はいないと直感し、近くに住まわせまでしてその後10年にわたる親密な交流を築いていきました。
ゲーテは彼にさまざまな教えを注ぎ続けましたが、一流の自然科学の研究者の立場から、自然との向き合い方について「自然は、つねに真実であり、つねにまじめであり、つねに厳しいものだ。自然はつねに正しく、もし過失や誤謬があるとすれば、犯人は人間だ」「自然は、生半可な人間を軽蔑し、ただ、力の充実した者、真実で純粋な者だけに服従して、秘密を打ち明ける」と語っていました。
ここには、現代人が失ってしまった畏敬の念というものがどんなものであるか、また何をもたらしてくれるのかが的確に述べられているように思います。そして、エッカーマンにとっては、ゲーテこそが何よりの‟自然”そのものだったはずです。
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