アンダーヘアの脱毛は、ここ10年間で40倍以上に増えています。この10年でどんな変化があったのでしょうか?また、なぜアンダーヘアを処理するのか、実際にアンダーヘア脱毛を行うクリニックの医師にお話を伺いました。
10年間で何があった?VIO脱毛が一般的になった理由
アンダーヘアの処理として近年注目を集めるVIO脱毛。医療脱毛専門院『リゼクリニック』によると、ここ10年間でVIO脱毛を契約した女性患者数はなんと43倍に増えたそうです。リゼクリニックの大地まさ代医師に話を伺いました。
「日本の脱毛は今から約60年前(1960年)に医療機関での針による電気脱毛がはじまりでした。その後エステサロンでも電気脱毛が始まりましたが、エステサロンは医療機関と違って広告の制限が無い為、あっという間にエステ脱毛が広がりました。日本に医療レーザー脱毛器が導入されたのは1986年頃ですが、一方で2000年代にはエステサロンでも光脱毛が始まりました。このように、エステサロンのマスメディアを利用した大規模な広告や低価格で始められるといった価格戦略によって、エステサロンによる脱毛が普及してきました。
しかし、2007年に医療機関における広告規制の緩和もあり、医療機関でも積極的に脱毛情報を発信するようになりました。
特にここ数年では、急速に新しい医療レーザー機器が開発され、より日本人の毛に合った痛みの少ない機器が導入され、利用者もそのような情報を入手できるようになりました。さらに、エステサロンと医療脱毛との効果の違いなどの知識も普及されつつあり、脱毛が可能なクリニックの数も格段に増え、価格競争で手ごろな値段で受けられるようになり、よりご自身のプランにあった施設を選択される方が多くなったように思います。
また、多くの芸能人や著名人が脱毛していることをメディアでカミングアウトしていることも影響として考えられます。昨今はメディアで「ハイジ男子」「妊活脱毛」など脱毛に関する造語が紹介される機会が増え、脱毛をするメリットに触れる機会が増えました。これまで以上に、脱毛についてカジュアルに考えられることが増えたように思います」(大地医師)
ひと昔前までは自己処理が主流だった「毛」に対するイメージが変わったのは、こういったことが背景にあるようです。
医師が考えるアンダーヘア脱毛のメリット
アンダーヘアを脱毛するとどんなメリットがあるのでしょうか?
自己処理からの解放
「自己処理をしている限り、毛はずっと生え続けます。自己処理を頻繁にすると、だんだん肌がかたくなったり黒ずみの原因にもなりやすいので、なるべく早めの時期に、医療機関などでの脱毛をすることを考えてみるのがよいと思います。プロの手に任せて脱毛をする際の最大のメリットは自己処理が楽になり、美肌効果があるということです。
脱毛をして自己処理の頻度が少なくなるだけで、自己処理で黒ずんでしまった肌も少しずつ元の肌色に戻り、肌の状態もよくなります」(大地医師)
VIOゾーンを清潔に保つ
「汗や生理時の出血などで非常に蒸れやすくデリケートな部位であるVIOゾーンは、常に下着も身につけているため、他の部位に比べ非常に雑菌が繁殖しやすくなっている部位でもあります。雑菌の温床となる毛の処理を行うことで、デリケートなVIOゾーンを清潔に保ちやすくなります」(大地医師)
VIOゾーンのニオイを軽減できる
「VIOゾーンは非常に雑菌が繁殖しやすく、この繁殖した雑菌から気になるニオイが発生します。毛の処理を行うことで雑菌の温床をなくし、通気性も高まることでVIOゾーンのニオイを軽減することが期待できます」(大地医師)
デザイン脱毛でオシャレを楽しめる
「完全に脱毛を行うことはもちろん、患者さま1人1人のご要望に合わせ、『薄くする(毛量・密度を減らす)』『形を整える』などのデザイン脱毛を行っています。アンダーヘアの毛を気にすることなく、水着などのオシャレを楽しむことができます」(大地医師)
アンダーヘアを脱毛する目的
単に「毛による不快感を軽減したい」という理由以外に、以下のような目的でアンダーヘア脱毛を行う人もいるようです。
妊活脱毛(妊娠前脱毛)
近年、将来の妊娠・出産に備えて、アンダーヘアの毛をなくす女性が増えています。
「妊娠をすると何度も産婦人科に通って陰部を人前に晒す必要性があったり、出産後の会陰(えいん)切開や、産後の出血「悪露(おろ)」と呼ばれる生理のような出血が1か月ほど続くなど、陰毛があるとなにかとやっかいなもの。陰部の傷口の炎症対策・長時間のナプキン使用によるかぶれや菌の増殖を防ぐなど母体にかかる負担を少しでも軽減するため、それらを回避しようと、出産を希望する女性の中で、妊娠する前にアンダーヘアの脱毛をする人が増えています。ただご注意いただきたいのは、妊娠中や授乳中は専門機関での脱毛ができません」(大地医師)
介護脱毛
近年の最新脱毛トレンドとして注目を集めているのが「介護脱毛」です。
「介護脱毛とは、将来、自分が介護される立場になったことを想定し、その準備としてあらかじめデリケートゾーンの脱毛を行うことを指します。
①陰部の炎症や感染症を防ぐ
②オムツ交換の際のニオイを軽減
③介護者の清拭が楽に
などのメリットがあると考えられています」(大地医師)
アンダーヘア脱毛にデメリットはある?
メリットしかないように感じるアンダーヘア脱毛。デメリットはあるのでしょうか?
「アンダーヘア脱毛を行なう上でのデメリットは特にありませんが、脱毛された毛は生えてこなくなる可能性がありますので、あらかじめ残したい部位がある場合はイメージをしっかりお持ちになるとよいでしょう」(大地医師)