ダイエットといえば、カロリーや糖質制限が主流。しかし、間違った食事制限では、美しく痩せることは困難です。ダイエットにはたんぱく質・脂質・炭水化物のバランス(=PFCバランス)が重要。そこで「PFCバランス」の考え方と活用方法を、あんしん漢方の管理栄養士の池田さんに伺いました。
そもそもPFCバランスとは?
無理のないダイエットで健康的に痩せるには、「PFCバランス」を整えることが大切です。まずはPFCバランスとは何かと、PFCバランスを整えることのメリットをご紹介します。
健康的なダイエットのカギとなる「PFCバランス」とは?
「PFC」とは、三大栄養素であるたんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate)のそれぞれの頭文字を取ったものです。からだにとって必要な栄養素は数多くありますが、エネルギー源となるのはこの3つだけです。
摂取エネルギー全体の、三大栄養素の摂取比率を「PFCバランス」と呼びます。
厚生労働省では「エネルギー産生栄養素バランス」として、生活習慣病の予防・改善を目的とした場合の望ましい摂取比率を定めています。
・たんぱく質 13~20%
・脂質 20~30%(飽和脂肪酸は18歳以上において7%以下)
・炭水化物 50~65%
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より)
この考え方は、疾病の予防だけでなく健康的なダイエットにも役立ちます。
PFCバランスダイエットのメリット
PFCバランスを意識したダイエットでは、過不足なく必要な栄養素を摂ることができるため、健康を保ちながら理想的な体型を目指すことができます。
ダイエットでは、やみくもに摂取エネルギーを減らしたり、炭水化物を一切摂らないといった極端な食事制限を行ったりすることはおすすめできません。それは、健康を害する可能性があるうえに、たとえ一時的に痩せたとしてもリバウンドしやすくなるためです。
また、しっかりと食べながら行うダイエットなので、ストレスが少なく継続しやすいという点も重要なポイントです。
PFCバランスの計算方法
では、具体的にはどのように計算すればよいのでしょうか? 以下で詳しく説明します。
■モデルケース
30歳・女性
身長158cm、体重56kg、体脂肪率25%
まずは1日に必要な摂取エネルギーを知る
PFCバランスを計算するうえで、まずは1日に必要とする摂取エネルギーを知る必要があります。この値は身長や体重、年齢によって異なりますので、自分にとっての必要量を計算してみることをおすすめします。
厚生労働省では、「推定エネルギー必要量」として「基礎代謝量」×「身体活動レベル」という式を用いて計算する方法をとっています。
STEP1:基礎代謝を計算する
基礎代謝量を計算する数式はいくつかありますが、ここでは誤差が少ないとされている下記の国立健康・栄養研究所が作成した式を使って計算してみます。
男性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢(歳)-0.4235)×1,000/4.186
女性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢(歳)-0.9708)×1,000/4.186
(『日本人の食事摂取基準(2020年版)』より)
モデルケースの数値を上記の式に当てはめると、基礎代謝は1,196kcalとなります。
STEP2:身体活動レベルを確認する
身体活動レベルは、日常生活のなかでの活動量に応じて3段階に分けられています。
ここでは、オフィス勤務の女性と仮定して「ふつう」の係数を使用します。
推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量(kcal/日)×身体活動レベル
1,196kcal×1.75=2,093kcal
1日の摂取エネルギーの目安は、2,093kcalとなります。
STEP3:PFCバランスを計算する
先ほど計算した1日に必要なエネルギー量をもとに、PFCのバランスを計算します。
それぞれの栄養素の1g当りのカロリーを確認しましょう。
・P(たんぱく質)=4kcal/g
・F(脂質)=9kcal/g
・C(炭水化物)=4kcal/g
厚生労働省の示す「エネルギー産生栄養素バランス」をもとに、たんぱく質は最大値の20%、脂質は最小値の20%とします。