階ごとに変わる生活シーン
祖父の世代まで遡る生粋のパリジェンヌで、長年サンジェルマンデプレの住人だったマリエルさん。120㎡もあった7区のアパルトマンから、トータル平米数約90㎡の一軒家に移り住み、2年の歳月が流れた。
「不思議なことに、以前より狭い家に住んでいるという感覚はないのです。アパルトマンには空間が水平に広がる暮らしがありますが、この家には縦の広がりがあります。まず1階の玄関を入ると書斎があって、その奥が洗濯機や乾燥機を置いたパントリー、2階に上がるとリビングとオープンキッチン。さらに3階に上がればベッドルームとシャワー、トイレがあるという具合に、フロアごとに暮らしのシーンがガラリと変わるせいでしょう。フロアを移動しながら暮らしのステージを棲み分けるような、そんなイメージがあります。シテ・フルリを発見したように、ここへきて一軒家の魅力を発見しました」
2人の息子たちもそれぞれ独立し、今は自分のために作ったこの家の生活を、まさに自分のために楽しんでいるという。軽やかな一人暮らしを謳歌するマリエルさんには、工夫がいっぱいの現在の住まいがとてもよく似合っている。
マリエルさんのセカンドネーム「マルギュリット(マーガレット)」を壁に。「花咲く住宅街」と呼ばれるエリアに家を購入した時から、自分のセカンドネームを家の名前にと考えていた。
南仏モンペリエから取り寄せた中古のタイル。建築当初からここにあったという雰囲気を作りたかったので、新品を避け、中古品を探した。
窓の外のグリーンが映り込み印象派の絵画のよう。「外は自分の庭」という気分になれるマリエルさんのお気に入り。
玄関のドア。厚手のカーテンには遮光と断熱効果がある。
「花咲く住宅街」。こじんまりとした一軒家が並ぶエリア。