今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
川の流れのように
今週のさそり座は、他人をコントロールする動きを減らしていこうとするような星回り。
若年性アルツハイマー型認知症の当事者である丹野智文さんは、あるインタビューのなかで、障害者はしばしば健常者のおもう「正義」や「やさしさ」を実現するための道具となってしまう傾向があるということを指摘しています。
周りの人のやさしさが当事者を知らず知らずのうちに追い込んでいくというケースは、実際あまりにも当たり前に起きているもの。これまで、あまりそのおかしさに対する指摘自体が行われてこなかったように思います。
今週のあなたにとっても、相手の力を信じ、任せるということがテーマとなっていくでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
理性を立て直す
今週のいて座は、小さな現実で満足するか、それさえも見落としてしまうか分かれていくような星回り。
『鳥篭の中に鳥とぶ青葉かな』(渡辺白泉)は平和な初夏の、庶民的なワンシーンをイメージさせる一句ですが、この句が敗戦から2年ほどたった頃に詠まれたものであると知ったとき、その解釈は否が応でも変化せざるを得ないはず。
この句が詠まれてから、70年以上が経ちました。しかしいくら時代が進もうとも、主権在民や男女平等というものは「篭の中の鳥」のようなものなのかも知れません。ただそれでも、はじめから無理なものは無理なのだと匙を投げるか、目の前のささやかなよすがをもとに、篭を抜け出すチャンスを虎視眈々と狙っていくかは本人次第。
今週のあなたもまた、いま現在自分が置かれている立場や現実に思わぬ落とし穴はないか、改めて目を光らせていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
泉となって湧きだす
今週のやぎ座は、ハイデガーの言う「頽落」を見直していくような星回り。
例えば、世間話というのは天気の話だったり昨日見たテレビの話だったり、必ず「みんな」が分かるようなことしか話されず、口を挟むようなことはあってはならない。そこでは、その時どきのみんなの論調に合わせて関心や話題は次々と移り変わり、軽薄な好奇心が転がるままに、本人の立場や意見が曖昧なまま、自分たちが世間や「みんな」に属し続けていることをひたすら確認していく訳です。
こうした「世間話」「好奇心」「曖昧さ」の3つに特徴づけられる生き方こそが、世の人が抗うこともむなしく飲み込まれているものであり、ハイデガーはそれを「頽落(たいらく)」と呼びました(そのまま訳せば「没落」ないし「退廃」)。
今週のあなたもまた、そこから完全に抜け出すことは難しく、どんどんその深みにはまりがちな「頽落」と自分との距離感を今一度確認していくべし。