今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
沈黙からの訴え
今週のかに座は、ずっと自分で受け止められていなかった心の声に、気が付いていくような星回り。
『時鳥(ほととぎす)平安城を筋違(すじかい)に』(与謝蕪村)という句のごとし。
おそらくこの句は、京都の街やそれに象徴された世間の狭さ小ささを誇張的に表現したものというより、「時鳥」の叫び声がいかにも長く続いたことを誇張的に表現したものと言えますが、人間の意識の置き換えても、同じようなことが起きているのかも知れません。
今週のあなたもまた、そんな風に「筋違い」に飛んでくる過去の自分の訴えを受け止めていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
透明人間あらわるあらわる
今週のしし座は、ありうべき未来の自分を放置してしまうのを、回避していこうとするような星回り。
哲学者のハイデガーによると、「みんな(ハイデガー風に言えば世人)はどこにでもいる」が、「決断を迫られるときには、みんなは既につねに姿を消してしまっている」とのこと。
「わたし」の代わりに決断の責任を引き受けてくれるはずの「みんな」とは、結局のところ、誰でもない誰か、すなわち実在しない透明人間のようなものであって、実際のところ引き受けるべき責任からするりと逃れてしまっているのだと言うわけです。
今週のあなたもまた、そうしたポツネンとした自分がいたとしても、「それでいいんだよ」と自分で自分の背中を押してあげられるかどうかが問われていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
路傍の石となる
今週のおとめ座は、人が憩い、留まっていくほど広さをもっていこうとするような星回り。
『絶えず人いこふ夏野の石一つ』(正岡子規)という句のごとし。
夏野の途中にあって、印象的な白一点の石の存在を目の当たりにした旅人は、必ずそこに腰かけて休んでいったのでしょう。来ては去ってゆく旅人の存在はまるで時間の流れのようであり、それとは対比的に、夏野の石は永遠の象徴のようでもあります。
今週のあなたもまた、どんな野に存在する石であるべきか、改めて自身に重ねて考えてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「得る私」から「消え去る私」へ
今週のてんびん座は、隠避な暗闇にどうしようもなく惹きつけられていくような星回り。
“神秘的合一”をあらわす最も古いシンボルの1つとしての、「蛾」のごとし。
蛾は焔に惹きつけられて身を焦がしてしまうにも関わらず、焔に最接近してしまう訳ですが、これは物事の本質ないし神を人はけっして知り得ず、認識することが不可能であるという不可知論のパラドックスを想起させるところがあるように思います。
今週のあなたもまた、合理的な認識の光輝と対立しつつも密かな共犯関係を結んでいる神秘の方へと、みずから近寄っていくことになるでしょう。