今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
背景からの飛び出し
今週のかに座は、あなたも私もモノも並列に配置していこうとするような星回り。
『夏シャツや汝(な)が胸張れば釦(ぼたん)飛ぶ』(榮猿丸)という句のごとし。
ここでは人間が主体でそこに夏シャツが不随するのではなく、あくまで「夏シャツ」と「汝」は同じモノ同士として並列で、どこまでも平等な関係にあり、さながらピタゴラスイッチのように、互いのかかわりを通して生まれるリズミカルな律動こそが主体となっているのだと言えます。
あなたもまた、バラバラな素材をいかに律動的に配置していけるかが問われていくでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
俺のコレポン
今週のしし座は、あえて時代に逆行してでも自分なりの美学を貫いていこうとするような星回り。
かつてウィリアム・ブレイクは「想像力とは状態ではなく、人間のエグジスタンスそのものである」と書きましたが、科学と詩を哲学的に統合しようとしたガストン・バシュラールは「錬金術は、世界の生命と完全に一致することを希求すればするほど真摯になる想像力、物質的想像力の理論のため、無数の訓練を含んでいる。」(『大地と意志の夢想』)と述べました。
この錬金術師の「真摯さ」とは、人間と物との内密的な交感(コレスポンダンス)、その親和の深まりであり、それは固定された視点から客観的かつ還元的に記述していこうとする近代的な思考をこえたものを提出してくれるのだと言えます。
あなたもまた、そのままではとても受け入れられない現実や世界の実像を、いかに自分なりに作り変えていけるかということに命を燃やしていきたいところ。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
おのれをバリ3にする
今週のおとめ座は、おのずから自身の何かがうごめき、躍動していくのをジッと待っていこうとするような星回り。
『ほのかなる少女のひげの汗ばめる』(山口誓子)という句のごとし。あかるい日差しによってうっすらと浮かび上がった湿り気をおびて光るうぶ毛のことを、「少女のひげ」と呼んでみたかっただけのような気もしますが、それを「汗ばめる」と結んでいくところがまたすごい。
ファッションとしてそこにあるのでも、何か特定の目的のために使役されている訳でもないからこそ、余計に「少女のひげ」がまるで生きて呼吸しているかのように感じられるのかも知れません。
あなたもまた、自身を「何のために」といった目的論的な文脈から外れたところに置いてみるべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
逆を極める
今週のてんびん座は、心中で起きている力動的な葛藤により深く没頭していこうとするような星回り。
現代イタリアの哲学者アガンベンによれば、怠惰には両義性があり、むしろ肯定的な側面もあるのだとして次のように記述しています。
「怠惰な者を苦しめるのはそれゆえ、悪の意識ではなくて逆に、善の中でもっとも偉大なものへの配慮である。怠惰とはまさしく、神の前で人間が立ち止まるという義務に直面して、目を眩ませて怯えながら「後ずさりすること」である。」(『スタンツェ』)
つまり、修道士が怠惰に陥って修行生活が向かっていくべき神の善から逃走するのは、そもそも神の善をはっきり認識しているから起きえることであって、そうでなければ修道士が神の前で怯むことすらないではないかという風に、逆説的に捉えている訳です。
あなたもまた、そうした弁証法的な捉え方を通して、かつて自分が喪ってしまったものを取り戻していく術を探っていくことになるでしょう。