ときめくモノには理由がある。Sheage編集部が毎月、今心ときめくモノをpickup!今月は「二度見しちゃう!表情が愛くるしい焼き菓子」をテーマに、表情につい見とれてしまう焼き菓子をご紹介。鵜が鮎に食べられる!?ここぞという勝負時のゲン担ぎに贈りたいお菓子、岐阜・玉井屋本舗の「下剋上鮎」です。
鵜と鮎の立場が逆転!インパクト大の「下剋上鮎」
「あ!」と驚いたように、大きくくちばしを開いた鳥。この滑稽な表情に、つい目をとめてしまいます。岐阜県を流れる長良川の有名な鵜をかたどったお菓子なのですが、なぜこんな表情なのかというと…
なんと、鮎にパクッと食べられてしまっているから。
一度見たら忘れられないこのお菓子。岐阜県で1908年から100年以上続く「御菓子司 玉井屋本舗(以下 玉井屋本舗)」のお菓子の中でも異彩を放つ、その名も「下剋上鮎」です。
鵜匠が鵜をたくみに操り、鮎などの魚を獲る伝統漁法「鵜飼」。上記の長良川をはじめ、いくつかの観光地では夏の風物詩となっていて、観覧したことがある方も多いのではないでしょうか?ところがこのお菓子では、その鵜と鮎の立場が逆転。
ちょっと衝撃的ですが、「あれ?食べられてる?」というように見える、鵜のとぼけた表情に笑ってしまう…。「すごい発想」「かわいい」などと、SNSでもたびたび話題になっています。
大河ドラマをきっかけに、老舗和菓子屋から生まれた新しいお菓子
このお菓子には、こんなストーリーが添えられています。
1300年もの間、鵜に呑まれ続ける鮎はあるとき、このままでよいのだろか…?と考え始めます。「いや、いいはずがない!同郷の偉人である明智光秀のように、『下剋上』を図ろうではないか。」そして行動を起こした鮎が鵜を呑み込む、勝利の瞬間がお菓子になっているのです。
こちらが生まれたきっかけは、2021年に放送された大河ドラマ『麒麟がくる』。和菓子屋の玉井屋本舗は、その舞台である地元が注目される機会に新しいお菓子を作ろうとします。それを任されたのが、プロデューサーの白木佑典さん。試行錯誤を重ね、玉井屋本舗の鮎をモチーフにした伝統的なお菓子「登り鮎」に、和菓子をあまり食べない若者にも引っかかるだろうデザインと、麒麟がくるに通じる歴史の要素を加えたお菓子を考案します。そうして、「いつも一方的にやられている鮎が、今度は鵜に対して食らいつく」というテーマにこだわった下剋上鮎が誕生したのです。
和菓子好き・洋菓子好き、どちらも楽しめる味わい
下剋上鮎は、 鵜の部分には厳選された大麦粉が、鮎の部分には岐阜県産のお米「ハツシモ」の米粉が使われています。その粉を丹念に練り上げて作った生地を手作業で一つひとつ鵜と鮎の姿に型抜きし、焼き上げたら完成です。
鮎は和三盆糖味で、鵜は茶色いほうが黒糖味、緑色が抹茶味の2種類。食べてみるとカリッと香ばしく、上品ながらもしっかりとした甘味が感じられます。緑茶やほうじ茶などの日本茶はもちろん、コーヒーや紅茶とも相性がよく、和菓子が好きな方も、洋菓子派の方も楽しめる味わいです。
パッケージも粋な雰囲気で、サイズや数量が豊富
お試しでの購入やちょっとしたギフトにしやすい1箱4枚入りの「小」(写真)のほか、それと同じサイズが12枚が入った「献上箱」と、1箱1枚の「大」があります。
小でも、手のひらサイズほどの十分な大きさ。大になると、大人の女性が指を広げた手と同じか、むしろそれよりも大きいぐらいのボリューム。サイズ感でもサプライズのある贈り物にできそうです。
下剋上鮎
小4枚入り(黒糖&抹茶各2枚) 1,404円(税込)
大1枚入り 黒糖/抹茶 各702円(税込)
献上箱(黒糖&抹茶各6枚) 4,104円(税込)
※現在生産が混み合っており、お届けにお時間を頂戴する可能性がございますとのこと
和菓子屋さん発とあって、パッケージは和のなかにモダンさも感じるすっきりとしたデザインです。鮎と鵜が追いかけ合っているようなマークも印象的で(結果は箱を開けてみればわかる…ということですね)、粋な雰囲気。日本パッケージデザイン大賞2021の菓子部門で銅賞も受賞しています。
箱の中には、鮎が鵜へ戦いを挑むまでを綴った巻物風のパンフレットも。ギフトとして受け取った方も、お菓子に込められたストーリーをしっかり楽しめるので、スポーツなどの試合の応援や、受験や就職活動の合格祈願など、下剋上や逆転を狙いたい場を控える方への贈り物にぴったりです。
「いつまでも食われてばかりじゃいられない」という結びの言葉に、「私も負けるものか」と力をもらえるはず!
岐阜の景色や歴史を大切にした和菓子を作る「玉井屋本舗」
先ほどご紹介した、下剋上鮎のベースともいえるお菓子、登り鮎はこちらです。
初代が長良川の鵜飼をモチーフに作ったもので、柔らかいカステラ生地に求肥が包まれています。岐阜や京都の銘菓である鮎菓子のなかで、岐阜では玉井屋本舗のこの登り鮎が発祥と言われています。
玉井屋本舗は、岐阜城がそびえ立つ金華山のふもと、長良川のほとりにお店を構えています
先ほどの登り鮎をはじめ、岐阜の四季折々の花鳥風月を表した上生菓子や、歴史にちなんだお饅頭など、素朴で味わい深いお菓子を展開。下剋上鮎と同じく「下剋上」をキーワードにした、中日ドラゴンズ公式応援和菓子「下剋上竜」という干菓子もあり、楽しい驚きを与えてくれるお菓子も生み出しています。