Twitterでバズった宝石のように透き通ったお団子の画像。そのあまりの美しさに、ついた「いいね」は2万4000件!ネットで販売すれば、わずか2分で売り切れます。手掛けるのは、安定した地位を捨て独立を選んだ老舗和菓子店の9代目。新たな挑戦に密着しました。
予約1か月待ちの宝石のように透き通ったお団子
CBCテレビ:画像 『チャント!』
岐阜県大垣市にある2020年に創業したばかりの和菓子店「柏屋つちや」。
おまんじゅうやどらやきなど定番の和菓子と一緒に並ぶ、「kasane」という宝石のように透き通ったお団子。この「kasane」がTwitterでバズったお団子です。
(お客さん)
「予約して3~4週間待った」
「三重から1時間かけて来た。『1か月待ち』と言われたので、予約だけしてまた買いに来た」
そんな「kasane」を生み出したのが、店主の槌谷祐哉さん(50歳)です。
(柏屋つちや・槌谷祐哉店主)
「驚いているというのが正直なところで『kasane』は自分がかわいいなと思って作ったお菓子だったので、それを多くのお客様に『いいね』『かわいいね』って言っていただけたというのは、すごくうれしい」
江戸時代から伝わる伝統的な和菓子「琥珀糖」をお団子の形にした「kasane」。四季折々、色合いを変え、色で季節を感じる日本人独自の感性を表しています。
木漏れ日の景色をイメージした「初夏」は、ミント・マスカット・青リンゴ味。砂糖と寒天でできていて表面はカリッ、中はプニュっとした食感です。
「自由な発想で」伝統にとらわれない和菓子作り
CBCテレビ:画像 『チャント!』
「kasane」を作っているのは、店とは別の場所でした。
(柏屋つちや・槌谷祐哉店主)
「(Qいつもここで作業している?)そうですね、毎日ここで。(お店を)始めた時、お金もあまりなかったので、レンタルキッチンを月極で貸してもらっている」
わずか6畳のレンタルキッチンで店の商品全てを一人で作る祐哉さん。「kasane」の作り方が独特でした。
寒天を溶かし砂糖を加え煮詰めたら、風味のついた食紅で色をつけ、フランス料理でソースなどをかける時に使うスクイズボトルに流しこみます。お団子の型はシリコン製で、元々は小さいアイスボールを作る製氷皿を使っていました。
(柏屋つちや・槌谷祐哉店主)
「和菓子屋さんで使うことはあまりないと思いますけど、ちょうどノズルがすごく細いのが使い勝手がいい。『和菓子はこうじゃなきゃだめ』って考えた時点で和菓子の文化はストップすると思う。なので、いい道具であれば何でも使いますし、枠にとらわれないっていうことは、すごく考えています」
伝統にとらわれず、自由な発想で新しい和菓子を作っています。
「お菓子作りのない人生はありえない」ゼロからのスタートを決意
CBCテレビ:画像 『チャント!』
祐哉さんが今のお店を開くまでには、紆余曲折がありました。岐阜では誰もが知る老舗和菓子店「御菓子・つちや」の9代目として生まれた祐哉さん。
小さい頃から後継ぎとして育てられ、29歳で社長に就任。19年間、経営をしてきましたが、事情があってお菓子作りを続けられない状況に。
(柏屋つちや・槌谷祐哉店主)
「お菓子作りができなくなるのであれば…という思いで『御菓子つちや』を辞めた」
「御菓子つちや」の社長という安定した地位を捨て、独立という険しい道を選びました。
自由な和菓子作りを求め、ゼロからの再スタート。毎日自宅のキッチンに立ち、試作を重ねました。