今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
自分に穴をあける
今週のかに座は、小さな脳内世界を守るあつい壁を粉砕していこうとするような星回り。
『白湯(さゆ)さめしごとくに鶴の空はあり』(友岡子郷)という句のごとし。
想像をはるかに超えた圧倒的なエネルギーに圧倒され、打ちのめされる経験というのは、同種の人間の集まりであるとか、人間界のごく内側で形成されるぬるま湯的環境では決して体験することはできません。しかし、いつしか現代人の多くは、そうした限られた人的環境だけが世界のすべてであるかのように、錯覚するようになってしまったのではないでしょうか。
あなたもまた、できればみずから打ちのめされにいくくらいの気概を発揮していくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
仏教という比喩
今週のしし座は、「遊んでいる歯車」になっていこうとするような星回り。
お坊さんであれ何であれ、この世の歯車から完全に外れる訳にはいかない。そのため仏教には、伝統的に取り入れられてきたシステム「托鉢」があります。
食べ物を食べるという生きる上でどうしても生じてしまう因果論的宿命に対して、微妙な“遊び”を設ける。ここに、「修業」として人生を生きるという、自由意志の発現の余地を見出していくのが、仏教のとってきた戦略なんです。
あなたもまた、どうしたら流されがちな因果や必然性の強化にあらがい、自由意志を発展させていけるかがテーマとなっていくでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ただ邁進あるのみ
今週のおとめ座は、一般的にはよくわからないところまで突き抜けていこうとするような星回り。
『藪の中冬日見えたり見えなんだり』(高浜虚子)という句のごとし。
言葉はなんの難しさもないくらい簡潔なのに、どこか世間ずれしていく感覚をとらえ、みずからそれを楽しんでいる。作者はそういう境地で「冬日」を相手に我を忘れて遊び呆けていたのかも知れません。
あなたもまた、いつも以上にドライブをきかせてこれと決めた相手や対象とどっぷり関わっていくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
“それ”がするだけ
今週のてんびん座は、妄想であれ錯覚であれ、自分に与えられた役割をひたすら全うしていこうとするような星回り。
ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアは、70人以上にも及ぶ「異名(≠ペンネーム)」を創出し、これらの異名たちがそれぞれ詩や本を書いていたという前代未聞の経歴で知られていますが、それはなんとかしてひねり出した文学的な工夫以上のものでした。
ペソアの詩のひとつに「世界は一本の指にからめられた糸かリボンで、窓辺で夢想している女性が戯れている」というものがありますが、彼の詩の魅力というのは、あたかもその一行一句がこれを書いたのは自分じゃないか、自分はペソアの異名者の一人じゃないかという気にさせるところだったのではないでしょうか。
あなたもまた、自分なりの仕事と機能を与えられた実在の「異名者」の一人になったつもりで、過ごしてみるといいかも知れません。