今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
心地いいが正義
今週のさそり座は、本音を本音のままに打ち出していこうとするような星回り。
『日向ぼこ脳がとけてゆくごとし』(大木あまり)という句のごとし。五七五のまん中の「脳がとけて」が六音の「字足らず」になっており、なんとも盛り上がりに欠ける一句だが、それがいい。
かつてある詩人が「なにも考えないことのうちには、十分な形而上学がある」と書きましたが、少なくとも現代では「なにも考えない」ことの実践はますます困難なものになっていることは確かでしょう。
あなたもまた、易しいことを易しいままに体現していきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
流れの旅路を
今週のいて座は、変わらない人間なんてありゃしないのだと、開き直っていこうとするような星回り。
「おまえは走っている汽車のなかで生まれたから、出生地があいまいなのだ」という少年時代の母の冗談めいた一言を受け、一所不在の思想に憑りつかれるようになった寺山修司は、のちに自叙伝で次のように述べています。
「私と故郷の関係は必然性に支えられているとしても、私の生そのものはつねにそこから免れることをもくろみつづけていたし、九鬼周造の書物のなかにの一句のように「偶然性の問題はつねに無に関しており、すなわち無の地平において十全に把握されているもので」あるなら、人生なんてどうせ偶然性に大部分をゆだねた「流れの旅路」だとも言えるのである。」
あなたもまた、統計学と必然性以外のものを発見しようという希望を改めて汲んでいくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
魔術的生起の季節
今週のやぎ座は、身に訪れたナマの感覚にきちんと従っていこうとするような星回り。
『疼くの字「冬」を宿せり冬が来る』(西嶋あさ子)という句のごとし。作者は何らかの「疼き」に直面するなかで、ふと季節の移り変わりを感じ取ったのでしょう。
痛みに見舞われると私たちは、その痛みや直接的な原因のことで頭がいっぱいになってしまいますが、と同時に、体躯のどこかで起こる軋みや響きを別の部位へと波及させていく共鳴板になりきっていきます。
あなたもまた、不意に起こった揺らぎの感覚を流さずきちんと味わって必要な備えに励んでいくべし。