こうした流れをくみ、@cosme BEAUTYHOODでは商品を紹介する際に、6つの掲載基準を設けています。
@cosme BEAUTYHOODの掲載基準
@cosme BEAUTYHOOD 提供
6つの掲載基準のうち2つ以上を満たしているブランド様をご紹介しています。どの掲載基準をチェックするかは、すべて各ブランド様へ確認をとらせていただいています。
明確な基準があることによって、「この項目ならできそうだ」とか「次はこれもやったほうがいい」といった気づきになり、エシカルな観点を取り入れるブランド様がより増えるといいな、と考えています。
これは、ブランド様との関係性がすでにある@cosmeだからできることでもあります。
さまざまなブランド様とやりとりをする中で、倫理観や正義感などの理念の浸透に加え、真剣にビジネスとしてエシカルな観点を取りこぼすわけにはいかないという意識の高まりを実感しています。いずれは美容におけるエシカルガイドラインを作成し、それを起点にした美容サミットのような場をつくっていきたいです。
ーーフォロワーの反応はいかがでしょうか。
1年でいちばんコスメの消費が盛り上がるのがクリスマスシーズンなのですが、2022年のクリスマス直前にこんな投稿をしました。
@cosme BEAUTYHOOD 提供
illustration by @miona_irom
<新しいコスメも気になるけど... 私は、今あるコスメを大事に使うんだ>
いちばんのかき入れどきにあえて「いまあるものを大事に使う」というメッセージを発信したことで、とても大きな反響がありました。買うことを否定しているわけではなく、「私」の「いま」の選択肢としてひとつの形を伝えています。
かわいいリップも好きだし新しいアイシャドウも気になるけれど、愛着のあるコスメを大切に使いきりたい。そんな気持ちに共感した方が多かったのではないでしょうか。
「かわいい」「美人」を追求しない
ーーこうしたイラストの投稿や商品の紹介はありますが、モデルは登場していないようです。化粧品の広告やコスメ関連のアカウントでは、メイクしたらどう見えるかが重要な気もしますが...
@cosme BEAUTYHOODでは、いわゆる「かわいい」とか「美人」というこれまでの美容の価値観に重きをおいていません。
自分が使って心地いいと感じるものを選び、美容を通じて心を満たしてもらいたいので、かわいいとか美しいといった外見的なメッセージにはフォーカスしていないんです。
また、美の概念が固定化されることを避けたいという思いもあります。
ひとりのモデルさんだとイメージが固定化されるため、多様なモデルさんに登場してもらえばいいのかもしれません。でも、それもまた難しさをはらんでいて。
多様性を尊重するため、いわゆる”個性的”とされるモデルさんが起用されることがありますが、実社会を反映しているとは言いづらいように感じてしまいます。
多様性の尊重とは、外見という表面的なことだけではなく、自分とは異なる他者がいるということを意識することではないでしょうか。自分には想像もつかないような価値観やバックグラウンドをもつ人がいることを常に意識しながら生活し、商品やサービスをつくり、ビジネスに向き合っていきたいです。
例えば、「自分らしく」という表現さえ、「自分らしさって何だろう」と模索して悩んでいる人にとってはプレッシャーになることがあるといったように、想像力をめぐらせていきたいです。
@cosme BEAUTYHOODを見た方が何を感じ取るかを最大限に想像し、ひとつひとつの投稿の内容には非常に気を配っています。
篠田慶子(しのだ・けいこ) / 編集者。早稲田大学法学部卒業後、ファッション誌でスタイリスト・編集者を経験。その後、フリーペーパーの編集者を経て、株式会社メディアジーンにてcafeglobe編集長、GLITTY編集長を経て、2017年10月に独立。@cosme編集長を経て2022年4月、エシカルな美容情報を発信する@cosme BEAUTYHOODをローンチ。Pinterestのフォロワー数は26万人を超える。
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美容はセルフケア
ーーコスメを紹介しつつも、美を追求しない。新しいコンセプトのプロジェクトですね。
メディアの取材を受けると、「美しいとはどういうことだと考えますか」と質問されることがよくあります。