今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
大した人間ではございません
今週のかに座は、得体の知れない“何か”として自分自身を捉えていこうとするような星回り。
『金魚屋のとどまるところ濡れにけり』(飴山実)という句のごとし。呼び止められて、荷をおろす段になって、桶からすこし水がこぼれる。しばし会話を交わして金魚が買われたり買われなかったりして、金魚売はまたゆっくりと移動していく。
それで、地面に濡れ跡だけがのこって、次第に呼び声は遠ざかって行く。そうやって、金魚売というのは「存在」と「非存在」とをつないでいたんですね。
あなたも、過去と未来、誰かと誰かとを結びつけている、何かボワーっとした媒介物になったつもりで過ごしてみるとちょうどいいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
正しい問いを見出す
今週のしし座は、自身が無意識に抱いている差別感情に気が付いていこうとするような星回り。
覇権的平和「パクス・ロマーナ」を誇ったローマ帝国も、地中海世界が世界史の「中心」から降りていき、「周辺」たる蛮族世界(アルプス以北)が代わりに割り込み、拡がり、やげて新たな中心へと逆転していく歴史的過程において衰退して滅びていきました。
歴史学者の弓削達は『ローマはなぜ滅んだか』(1989年)のあとがきのなかで、ローマ帝国がゲルマン民族に対して、野蛮、残酷、非理性などのレッテルを貼って、差別感情をもっていたことを指摘していますが、これは日本とアジア国家ないしアジア諸民族との関係を考える上でも、重なるところがあるのではないでしょうか。
あなたも、まずは自分を「ローマ末期の指導者たち」に重ねてみるといいでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
人間なんてナンボのもんじゃい
今週のおとめ座は、世の移り変わりを自身の実感に落とし込んでいこうとするような星回り。
『夏蝶もみんな孤独死ではないか』(仙田洋子)という句のごとし。どんな人間であれ孤独死する可能性があるのだ。いわんや夏蝶をや、と。大ぶりで華やかな美しさをもつ揚羽蝶も、若さを持て余した20代の若者も、同じようにひとり切りで死んでいくのだ。
魂をもった存在というのは、ほんらいみな等しく孤独に死んでいくものだったのかも知れないという不思議さへの開かれや、狭隘な人間的枠組みからのささやかな解放感さえ感じられてくる。
あなたも、そうしたささやかな解放感を噛みしめていくべし。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
接続の塩梅
今週のてんびん座は、権力支配から自由な在りようを紡ぎ出そうと、自分なりに試行錯誤していこうとするような星回り。
ニュースで芸能人の不倫が取り沙汰される度に、タイムラインがその話題で埋めつくされて他の問題が追いやられてしまう世界戦に生きている私たちは、性的関係ないし恋愛を(例えば友情などの他の人間関係と比べ)明らかに特別視しているように思います。
問題なのは、そうした規範意識が権力によって刷り込まれたものであるということ。経済成長に必要不可欠な人口増加を不安定にするような性愛のあり方をおかしいと思い込むことによって、資本と結びついた権力の支配に組み込まれていっているのだと言えます。
あなたも、ちょうどいい塩梅での立ち方を改めて模索していきたいところです。