今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
世界からの贈与を受けとっていく
今週のさそり座は、自分のこれまでの人生をふっと「越して」いこうとするような星回り。
『かなぶんに好かれて女盛り越す』(岸本マチ子)という句のごとし。「過ぐ」ではなく「越す」という言葉が使われているのは、作者がどこかで自分が生きてきたこれまでの軌跡を、自分なりに受け入れることができたからであって、それが不意にはっきりとしたのだとも考えられます。
だからこそ、作者はかなぶんに好かれたことを皮肉っぽく嘆く代わりに、口元に笑みを浮かべて冗談にすることができている。
あなたも、ただ単に時間の経過をぼんやり眺める代わりに、いかに過去からサッと身を引いていけるかが問われていくでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
偶然に癒される
今週のいて座は、思い切って必然性を切断し、偶然へと接続していこうとするような星回り。
木村大治は『共在感覚』の中で、ザイールの農耕民ボンガンドによる「ボナンゴ」という発話行為について論じています。いわく、村の広場において大声で話す「奇妙な」人と、その横を何ごともない顔をして通りすぎていく人びとの姿を目撃したことがきっかけに、何を話しているのかを調べてみたと。
その内容は一緒に働かないかという呼びかけや、「暑くてたまらん」みたいな愚痴も多いのだとか。木村はこうした発話を「投擲的発話」と名づけ、すでに基底的なつながりが十分にある彼らにとって、あえてつながりを切ることを目的とした操作を入れないと、みなが疲れきってしまうのだ、と説明しています。
あなたも、不透明で、偶然性をはらんだ行為を積極的に「投擲」してみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
とりどりな豊かさ
今週のやぎ座は、関係性の成熟ということを確認していこうとするような星回り。
『虹立つやとりどり熟しトマト園』(石田波郷)という句のごとし。トマトは育てやすい部類の野菜に入りますが、雨に弱いのが特徴。作者は少しハラハラとしていた気持ちがあっただけに、余計にトマトがきらきらとしてるように感じられたはず。
現代社会では仕事であれ、人間関係であれ、何かを口にするだけでなく喜ばしい結果につなげることは、ますます難しくなりつつあります。だからこそ、ともに難事をくぐりぬけることのできた関係や、耳に心地よくはないはずの言葉を受け止めてくれた相手のありがたみが輝いて感じられる世の中なのだとも言えます。
あなたも、そんなよく熟れたトマトのごとき実りの喜びが、おのずとわいてきやすいでしょう。