今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
リズムとの一体化
今週のかに座は、自己の根底に流れている“うねり”を改めて見出していこうとするような星回り。
『塩田に百日筋目つけ通し』(沢木欣一)という句のごとし。
戦後の日本社会では、過酷な労働をしいられる生産性の低い方法はすでに廃れ始めていましたが、だからこそ作者は炎熱の一夏のあいだ、毎日毎日単調に繰り返される塩田作りを、労働者と同じ目線から詠もうとしたのでしょう。
あなたもまた、営々と伝わって来た伝統的なリズムへと、積極的に身を任せていくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
運命的ふるまい
今週のしし座は、苦悩を通してみずからの「在る」を作りあげていこうとするような星回り。
ギリシャ悲劇の代表的作品として知られる、『オイディプス王』の主人公・オイディプス。国家の救済者として活躍した彼は、やがて(そうとは知らずに)父を殺害し母を辱めた者であることを知るに至って、みずから両眼を潰し、王位を退くこととなります。
ハイデッガーは『形而上学入門』の中で、私たちはオイディプスの中に「その根本の激情が最も広くかつ荒々しいところまで突き進んだギリシア的現存在の形態」を把握しなければならないのであって、この「激情」こそ、「一切の大いなる問うことと知ることの根本制約」であり「ギリシア人たちの知と学問」の原動力だと言うのです。
あなたもまた、自分がそのうちへ投げ入れられているものの中に、改めてみずからを投げ入れていくべし。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
紛れ者になっていく
今週のおとめ座は、過去を水に流して心新たに現実に対していこうとするような星回り。
『野分やんで人声生きぬここかしこ』(原石鼎)という句のごとし。
自然の圧倒的な暴威の前で、あたかも死滅してしまったがごとく声を潜め、静まり返っていた人間界が、また息を吹きかえしてきた、という臨場感を、「生き」てあることの再発見に強調の「ぬ」を足した、「生きぬ」という言い方で表現してみせてくれています。
あなたにとって、そうした意味での心機一転をはかっていくには、ちょうどいいタイミングとなっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
いい夢みようぜ
今週のてんびん座は、悪夢的現実とは異なる、もう一つの夢を紡ぎ出していこうとするような星回り。
17世紀当時の、上野から品川にいたる新興都市としての江戸を描いた細密画である『江戸名所図屏風』には、どこか地獄絵にも通じるような不思議な魅力があります。
人はどこにも持っていきようのない衝動や、誰にも打ち明けようのない思い、まだ名前すらついていないような感情を、この絵に描かれた雑踏のなかにそっと紛れ込ませては、その“生きどころ”を無意識に探してきたのかも知れません。
あなたもまた、少しでもカオスが感じられるような場所に足を延ばしてみるといいでしょう。