都内から車でも電車でも2時間ほどでアクセスできる人気観光地・箱根。宿泊施設がたくさんあって、どこに泊まるか迷ってしまう…。それなら、レトロな雰囲気と多彩な湯処、おいしい料理が揃った「箱根小涌園 三河屋旅館」がおすすめです。国の登録有形文化財建造物である本館の建築美はもちろん、四季折々の自然が見られる庭園など、明治16年(1883)創業という名宿だからこそ味わえる、優雅なお泊まり体験を詳細ルポ。2023年7月にリニューアルした「箱根小涌園ユネッサン」へもすぐで、箱根観光の拠点におすすめですよ。
創業140年以上!歴史を物語る、古き良き建築美にうっとり
小涌谷温泉の名宿として知られる「箱根小涌園 三河屋旅館」は、箱根湯本駅からバスで20分、蓬莱園バス停で下車して徒歩すぐの場所にあります。箱根駅伝のコースでもある国道1号から、歴史を刻む長い石段を上ると、国の登録有形文化財建造物である大正年間建築の唐破風入母屋造りの本館の玄関が迎えてくれます。
まずは、本館ラウンジにご案内され、お着き菓子で一服してチェックイン。眼下に蓬莱園や箱根連山の緑を眺められるラウンジは、眺望絶佳という言葉がふさわしい三河屋旅館で最も人気のあるパブリックスペースです。7~10時、15~20時は、無料のコーヒーやお茶がセルフサービスで用意され、自由に楽しむことができます。
ノスタルジックな雰囲気に浸れる本館の建物は、2011年に国の登録有形文化財に登録されました。廊下の飾り窓、客室の欄間や床柱、襖の引き戸などにも意匠が凝らされて、古き良き時代の日本の伝統建築の美を堪能できます。
館内の窓ガラスも職人が手作りしていた時代のもの。フロントの左側の資料館や2階には、宿の歴史を物語る美術品や骨とう品などが展示されているので、滞在中にゆっくり見学してみて。昔の男女別温泉大浴場も、浴室と湯船、脱衣所が保存されており、鑑賞することができます(入浴不可)。
\ 宿泊しながら建築美を堪能しよう! /
歴史を感じる本館、一棟貸切の離れ、モダンな別館…、どの客室にする?
客室は、本館4室、離れ4室、別館17室の計25室。歴史ある名宿だけに、渋沢栄一や竹久夢二、与謝野晶子など、滞在した政財界の要人や文化人の名前は数えきれないほど。本館2階の客室には、中国革命の父・孫文が揮ごうした書が掛けられ、宿の歴史の重みを感じさせます。
本館から庭園を歩いて5分ほどの森の中には、平屋建て4棟の離れがあります。離れの客室は一棟をひとり占めにできるんです。部屋全体で60~65㎡という贅沢な広さで、8~10畳の主室の奥にはツインのベッドルームが。籐椅子が置かれた広縁の先には、春は新緑、秋は紅葉に彩られる庭園が広がります。
離れの特徴は、4棟すべてに専用の温泉露天風呂が備わっていること。四季折々の庭を眺めながら好きな時に好きなだけ湯浴みが楽しめます。
本館の長い廊下の先には4階建ての別館があり、露天風呂付き客室5室、和洋スイート3室、和室ツイン9室と、多彩なタイプの客室が揃います。
写真はバルコニーに専用の温泉露天風呂を備えた、和室10畳の露天風呂付き客室です。
大浴場、貸切風呂、ユネッサンの温泉施設もすべて無料で温泉三昧!
箱根旅行で楽しみなのは温泉!男女別大浴場には広々とした内風呂、引き戸の奥には2畳ほどの露天風呂があります。どの湯船も自家源泉の温泉を贅沢にかけ流し。小涌谷温泉は無色透明で肌触りの柔らかい弱アルカリ性単純温泉で、ストレス解消、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性などに効能があるといわれています。
こちらは、空いていれば自由に利用できる貸切温泉風呂(5~10時、15~24時、1回につき60分程度)。ほかにも宿から徒歩5分(またはシャトルバス)の「箱根小涌園ユネッサン」に隣接する「箱根小涌園 元湯 森の湯」(11~20時、最終入場は19時30分)も宿泊者は無料で利用できますよ。
湯上がりは浴衣に着替えてくつろぎましょう。日本旅館らしいデザインの着心地のよい浴衣や肌触りいいタオル、SDGsに配慮した自然由来成分のアメニティ類などが揃えられています。浴場に行く時に、一式まとめて持ち運べる手提げのバッグが用意されているのも便利です。
名物・米麹甘酒鍋をメインに、地元食材を駆使した日本料理を
お楽しみの夕食は本館1階のレストランで提供されます。
「箱根小涌園 天悠」の総料理長が監修した日本料理で、季節の前菜盛合わせからスタート。真鯛の山椒マリネバジルソースや彩り野菜のゼリー寄せなど、目も舌も喜ばせる前菜にお酒が進みます(季節によりメニューは変更)。お造りは、地元小田原漁港や沼津漁港などで揚がった新鮮な相模湾や駿河湾の海の幸が登場し、神奈川県産の自然薯が添えられることも。
メインの料理は、三河屋特製米麹甘酒鍋。神奈川県産やまゆり牛・やまゆり豚や野生鹿肉、自家製つくね団子、地元の生麩、厚揚げ豆富、新鮮野菜といったご当地食材がふんだんに盛り込まれています。コシヒカリの土鍋ごはんとデザートも味わって、お腹いっぱいに。
朝食は、小田原産かまぼこやアジの干物、曽我の梅干し、豆乳鍋、相模原のブランド卵の温泉玉子、伊豆のワサビ漬け、静岡県産黒はんぺんなど、郷土色豊かなおかずが食膳を賑わせます。
\ 地元食材を使った日本料理に舌鼓 /