今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
人の世をうらなう
今週のかに座は、全身に新鮮な血が通っていくような星回り。
『あきかぜのふきぬけゆくや人の中』(久保田万太郎)という句のごとし。
この句を読むと、あきかぜに吹かれている「人」のひとりひとりの表情の違いまで浮かび上がってくるような気がしてきますが、作者にとって「人」が大勢いる光景というのは、詩情の源泉だったのかも知れません。
あなたもまた、いつも以上にインスピレーションに恵まれたり、その源泉に触れていく機会を得やすいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
人間らしさの再編成
今週のしし座は、従来の「一人前(の人間)になる」の定義を書き換えていこうとするような星回り。
1960年代に制作されたテレビアニメ『妖怪人間ベム』には、ベム、ベラ、ベロと呼ばれる、姿は妖怪、心は人間の登場人物が出てきます。彼らは人間のために命懸けで闘うのですが、戦闘時に人間への擬態をといて妖怪となるために怖れられ、かえって人間から迫害を受けてしまう。
ここで留意しなければならないのは、人間の系譜をもった新種であり、かれらが三者三様で現われたのは、いわばこれまでの進化系統がリセットされた末の、新たな分岐ないし起点としての役割を担っているという点です。その中でかれらは、人間を人間としてカテゴライズしているさまざまな境界や概念を、変容させつつあったのではないでしょうか。
あなたもまた、従来的な成熟や成長のモデルに対する見直しを今一度迫られていくことでしょう。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ふよふよの連鎖
今週のおとめ座は、身をもって周囲に秋をもたらしていこうとするような星回り。
『さり気なく聞いて身にしむ話かな』(富安風生)という句のごとし。あっさりとした仕立てながらも余韻のある一句ですが、現代ではむしろこれと逆のことがあちこちで常態化しているように感じます。
つまり、その場での態度としては強い言葉を用いたり大げさなリアクションをとっているものの、次の日にはすっかり忘れてしまって、別の話題で盛り上がっている。
あなたもまた、人であれ出来事であれ、まずはほっと息をついてから涼やかに迎え入れていくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
地獄の前衛
今週のてんびん座は、周囲でひとりだけ異質なジョーカーのような存在になっていこうとするような星回り。
人は死後、死に装束を着て三途の川を渡るとされ、そこで地獄いきか極楽へいけるかがかなりの程度決まってしまうのですが、それを決める絶対的存在が「奪衣婆(だつえば)」と呼ばれる女神。
恐ろしい存在である奪衣婆は、地獄絵などを見ると醜い姿で描かれているものの、じつは各地に残された彫像を見ると、ずいぶんと印象が違っていることに気が付きます。その土地土地の信仰やイメージが入り混じり、トランプの札で喩えるなら、地獄でひとりだけ異質なジョーカーの札のような存在になっている訳です。
あなたもまた、決まり切ったフォーマットに自身をはめこむのではなく、むしろそこから自由になっていくべく、セルフイメージの吸収合併に励んでいくべし。