今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
絶望を始点とする
今週のさそり座は、心の底に深く深く潜んでいる熱情が、透徹したものの見方へと昇華していくような星回り。
『秋風や眼前湧ける月の謎』(飯田蛇笏)という句のごとし。掲句の前書きには、作者の従弟(いとこ)だった医科大学生が蘆の湖で溺死し、荼毘にふすべく葬儀場へと届けた旨が書かれています。その夜は月が出ていたのでしょう。
ここで言う「月の謎」とは、ありふれた涙をふるい落とし、乾いた眼でなければ見つけることのできない、いのちの不思議をとらえた作者なりの感触なのだとも言えるかも知れません。
あなたもまた、体面をつくろって真実を埋めてしまう代わりに、心を強く刺激してくるような「謎」にむしろどこまでも搔き乱されていくべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
健全さをつくる
今週のいて座は、日々の生活においてDIY精神を取り戻していこうとするような星回り。
檀一雄と言えば、太宰などと並ぶ無頼派作家であり、私生活でも放蕩の限りをつくした破天荒な人物として有名ですが、一方で相当な料理通としても知られ、何冊か料理本を出しています。
『檀流クッキング』という本の中で何より目を引くのは、細かいレシピが載っていない点。本通りに作ろうとすれば、否が応でも自分なりの感覚をフル回転させ、自分がうまいと感じる料理をみずから追求していくことになるという寸法なのです。
あなたもまた、食生活を自炊中心に回していくことから、自身の快楽を攻めの姿勢でつくりあげていく道を整えていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
世代を繋いでいくということ
今週のやぎ座は、大きな心で<今・ここ>を肯定していくような星回り。
『妻が手の握飯(にぎり)三つや秋の風』(山本村家)という句のごとし。作者は山陰地方の小さな学校の校長を勤めていた人物で、その間、つねに自分の妻が握ってくれた握り飯三つを弁当にし続けてきたのだという訳です。
「自分の位置」といっても、そこには自分の父やその父、また彼らを支えた「妻」たちも含まれている。作者はそれを力んで鼻息を荒くするのでも、投げやりに諦めるでもなく、秋風のようなじつに爽やかな心持ちで肯定しているのです。
あなたもまた、そんなどこか一周まわった成熟を自身の中に見出していくべし。