2つの国宝を筆頭に、室町文化の粋を伝える鎌倉五山第二位のお寺。夏目漱石をはじめとする、多くの文豪を魅了し、文学作品の舞台にもなっている「円覚寺」はみどころも多く、ゆっくり境内巡りを楽しむのがおすすめです。
「円覚寺」ってどんなところ?
弘安5年(1282)に創建された臨済宗円覚寺派の大本山。鎌倉幕府8代執権・北条時宗が元・高麗連合の対日侵攻、元寇での戦没者を弔うため、宋の禅師・無む学がく祖元(そげん)を招聘して開山したといいます。以後、一山一寧(いっさんいちねい)や夢窓疎石(むそうそせき)など名だたる高僧が住職を務める。夏目漱石『門』や川端康成『千羽鶴』など、多くの文学作品の舞台にもなっています。
みどころはここ!
【百観音(ひゃくかんのん)】
江戸時代、拙叟尊者(せっそうそんじゃ)が境域内に100体の観音由来を祭ったのが起源。現在は33体の観音像が並んでいます。
【唐門の彫刻(からもんのちょうこく】
天保10年(1839)に建てられた唐門(勅使門)の扉には、みごとな飛龍や鳥の彫り物が施されています。
【山門(さんもん)】
総門を抜け、最初に見える杉の木に囲まれた山門は、名刹ならではの風格
天明5年(1785)に禅僧・大用国師(だいゆうこくし)によって再建された山門。杉木立の緑と相まって荘厳な雰囲気を醸し出しており、楼上には通常非公開である十一面観音、十二神将、十六羅漢が祭られています。
【洪鐘(おおがね)】
昭和28年(1953)に国宝に指定されている、関東最大の梵鐘は必見
直径1.42m、高さ約2.6m の大きさを誇る梵鐘。鎌倉三名鐘の一つで、正安3年(1301)、北条貞時が国家安泰を祈願して寄進したといいます。
【仏殿(ぶつでん)】
日本に伝わる三爪の龍は、天・ 地・海の三界を治めることを意味する
本尊の宝冠釈迦如来像が安置されています。天井画の白龍図は大和絵の著名な画家・前田青邨(せいそん)とその弟子・守屋多々志(もりやただっし)によって描かれました。
【総門(そうもん)】
紅葉の季節には、総門を囲 むように木々が美しく色づく
山号である「瑞鹿山(ずいろくさん)」の額が掲げられている入口の門。入って左で拝観料を納めます。
【妙香池(みょうこうち)】
向こう岸の露出した岩盤を虎の頭に見立て、虎頭岩(ことうがん)とよぶ
創建当初からある放生池(ほうじょうち)で、2000年に江戸時代初期の絵図に基づき、自然の姿に復元されました。
【開基廟(かいきびょう)】
北条時宗はこの場所で禅の修行に没頭し、精神鍛錬に励んだという
円覚寺の開基・北条時宗を祭る寺院・佛日庵(ぶつにちあん)の中にあり、開基の北条時宗や北条貞時など北条氏を祭っています。北条時宗の死後に建立され、文化8年(1811)に再建されました。