南アルプス・甲斐駒ヶ岳の麓、山梨県北杜市の豊かな森の中にある「サントリー白州蒸溜所(さんとりーはくしゅうじょうりゅうじょ)」。飲料メーカー「サントリー」のウイスキー工場見学や試飲も楽しめるこの場所が、2023年9月にリニューアル!2023年10月2日(月)から刷新される工場見学ツアーの内容や施設情報を詳しくご紹介します。
美しい森がお出迎え!「サントリー白州蒸溜所」がリニューアル
JR小淵沢駅から車で約20分、山梨県北杜市の美しい森に囲まれた白州エリアに位置する「サントリー白州蒸溜所」。「日本名水百選」に選ばれた尾白川渓谷(おじらがわけいこく)にも近く、ウイスキーの製造に適した良質でまろやかな水が得られることから、昭和48年(1973)に蒸溜所が竣工しました。その立地条件から“森の蒸溜所”ともよばれるこの場所では、近年入手困難となっているシングルモルトウイスキー「白州」が造られています。
「白州」のウイスキーは、南アルプスの花崗岩層を通ったミネラルを多く含む水から造られます。この水により、ウイスキーに豊潤で華やかな風味が生まれ、すっきり軽やかな味わいに仕上がるのだそう。2006年には、権威あるコンペティション「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」で「白州18年」が金賞を受賞し、その後も数々の世界的な賞を受賞しています。
2023年9月には、「白州蒸溜所」の竣工50周年を迎え、改修工事を完了し、リニューアル。「白州蒸溜所」と「サントリー天然水 南アルプス白州工場」の両工場共通の玄関としてビジターセンターが誕生しました。真っ白な建物は、白州の水を育む花崗岩でできており、入口から見たときに背景の森をあえて隠すように造られています。
その理由は入館して納得。館内に入ると、窓が森に面して大きく取られ、目の前に広がる緑から、改めて白州の自然の豊かさを体感することができるんです。ここでは場内見学や見学ツアーの受付のほか、白州の森全体を表現したジオラマ、自然に関する展示もあります。ギフトショップも併設され、樽材を使用したバードコースター1枚1540円などの限定土産を買うこともできます。
また、「白州蒸溜所」内には「セントラルハウス」が新たに登場。「テイスティングラウンジ」では、森を眺めながらウイスキーのテイスティングを楽しめ、さまざまなイベントにも使われる予定です。緑に囲まれてウイスキーを味わうなんて、都会のバーなどではなかなか経験できません。雰囲気も相まって、お酒の味がいっそうおいしく感じられますよ。
店内は都会のバーさながらの落ち着いた雰囲気。「白州」ブランドをはじめ、世界のウイスキーや限定品など、約30種類のウイスキーを取り揃えています。すべてストレート(15ml)での提供となり、値段も1杯100円~と、ウイスキー好きにはたまらない空間です。ぜひさまざまなウイスキーを飲み比べて、個性の違いを楽しんでみてください。
2024年4月には、野鳥の保護区「バードサンクチュアリ」がリニューアル予定。工場周辺の環境保全、愛鳥活動に取り組む「サントリー」ならではのこの場所に、野鳥を間近で観察できる「バードブリッジ」などが登場するそう!2024年7月にはレストラン「フォレストテラス」もオープン予定なので、工場見学ツアーや散策の合間にぜひ立ち寄ってみましょう。
製造工程見学や貴重なウイスキーの試飲まで!工場見学ツアーに参加
さまざまな施設リニューアル以外にも、大人気の工場見学ツアーが新しい内容に!
ツアーは無料コースと有料コースの2種類があり、すべて予約制。2023年10月2日(月)からリニューアルする有料ツアーは「白州蒸溜所ものづくりツアー」と「白州蒸溜所ものづくりツアー プレミアム」があり、「白州蒸溜所ものづくりツアー」では、仕込みから発酵、蒸溜、貯蔵まで、各工場を巡りながら「白州」の製造工程を見学することができます。さらに「白州森香るハイボール」などの試飲、「白州オリジナルテイスティンググラス」といったお土産まで付いた充実の内容。
「白州蒸溜所ものづくりツアー プレミアム」では、「白州蒸溜所ものづくりツアー」の見学内容に加え、貯蔵庫内での貴重なテイスティング体験や、これまで未公開だったグレーンウイスキー(小麦やとうもろこしのような穀類を主原料に発酵させ、連続式蒸溜機を使用して造られるウイスキー)の製造工程も見学できます。さらに、試飲内容に「白州12年」が含まれたり、お土産は「グラスホルダー」も付いたりと、グレードアップ!時間をかけてじっくり見学できるうえ、お得感も満載なので、時間が合えばぜひこちらに参加してみてください。
今回は、リニューアルした"プレミアム"なツアーの中身を一部ご紹介いたします!
ツアーは「セントラルハウス」からスタート。まずはウイスキーの原料となる麦芽の仕込から蒸溜までの工程が見られる蒸溜棟へ、バスを利用して移動します。広い工場敷地内の緑を車窓から眺めていたら、2~3分ほどであっという間に到着です。
緑に囲まれた蒸溜棟に入ると、すでにウイスキーの華やかな香りが漂います。
ここではまず、サントリーのシングルモルトウイスキーがどのようにしてできるのかをプロジェクションマッピングで解説。白い壁に光が投影されると、仕込槽や蒸溜槽が浮かび上がり、麦芽がウイスキーになるまでの工程をリアルに学ぶことができます。ガイドさんによる解説だけでなく、実物の麦芽を触ったり、香りをかいでみたり、五感で体験できるのがポイントです。
次に、実際にウイスキーが造られている工場内へ。中へ進むと、さらに強い香りが鼻を抜けていきます!仕込の工程では、水と大麦、厳選された二条大麦を発芽・乾燥させて麦芽にし、細かく砕いた麦芽を仕込水とともに仕込槽へ流し込みます。麦芽の酵素の働きで、でんぷんが分解された後、ゆっくりとろ過して澄んだ麦汁を作ります。タイミングがよければ、仕込槽を開けて中をのぞかせてもらえることもありますよ。
仕込の次は、発酵の工程。ろ過した麦汁をこの発酵槽に移し、酵母を加えることで、ウイスキー特有の香味成分をもつ「もろみ」をつくります。白州蒸溜所では木桶の発酵槽を使用しているため保温性が高く、もろみの熟成が進み、リッチで豊かな香りに仕上がるのだそう。発酵槽の中をのぞいてみると、ぷつぷつと泡立っているのがわかります。発酵初日と3日目ではこの泡の数も違うのだそう。ウイスキーの源が育っていく様子が間近に感じられます。