今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
遊び尽くしてやっと
今週のさそり座は、これまでどうにも動かないように見えていたものが、スッと動き出していくような星回り。
宗教学者の中沢新一が長年研究してきた、明治の生んだ稀代の博物学者・南方熊楠(みなかたくまぐす)についての講演をまとめた『熊楠の星の時間』を読んでいると、「東洋人の思想の原型」を見出そうという野心的試みが浮かび上がってきます。
「事物や記号はいったん潜在空間にダイビングしていく見えない回路を介して、お互い関連しあっています。そして潜在空間ではあらゆるものが自由な結合をおこなう可能性を持って流動しています。」
あなたもまた、これまでの自分の仕事や活動を支えてきた世界観を別の方向へとシフトさせていく上で、改めて自分なりのオルタナティブな思想を模索してみるべし。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
レッツMUBOBI
今週のいて座は、「誰も信用できない」といった張り詰めた空気感を崩していこうとするような星回り。
『花野来し隣座敷の老夫婦』(飯田龍太)という句のごとし。花野が近くにあるような、ひなびた温泉宿かなにかが舞台なのでしょう。
ご老人の夫婦らしい様子に作者は微笑しつつ、庭にめをやる。そこにも小さいながら花野が広がっていて、老夫婦が歩いてきた花野に繋がっているように感じられた。作者はそこで心底ほっとしたのではないでしょうか。
あなたもまた、再び自分が無防備になれる場所へと足を運んでみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
力の充実に向かって
今週のやぎ座は、「癒やし」をめぐる一般的なイメージの向こう側へと突き抜けていこうとするような星回り。
伝説的な生け花作家・中川幸夫。彼がその名を轟かせた作品に「花坊主」(1973)があります。真っ赤なカーネーション900本の花をむしり、それをまるでうつ伏せになった女体の、胴体の下半分のような形をした大きなガラス壺に一週間詰めておくと、花は窒息するのだそうです。
そして腐乱したその赤い花肉を詰め込んだ壺を、真っ白なぶ厚い和紙の上にどんと逆さに置く。鮮血のような花の液が、じわりじわりと滲み出してゆく。そんな狂おしい光景。「癒す/癒される」という関係性も、彼にとっては「食う/食い破られる」といったものに近く、少なくともどちらかが一方的に関わって無傷でいられるようなものではないのでしょう。
あなたもまた、もはや黙って素通りすることは許されない、徹底的に関わらざるを得ない何か誰かについて、改めて覚悟を深めていきたいところです。