今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
沈思黙考
今週のさそり座は、説明したり説得しようとする姿勢から真逆のベクトルへと突き進んでいこうとするような星回り。
茶の湯の革命児となった千利休(せんのりきゅう)は、高い美意識ゆえに、時の権力者であった秀吉の怒りを買い、自害を命じられて生涯を終えていますが、その点について作家の赤瀬川原平は『千利休 無言の前衛』において、こう評しています。
「だから利休は言葉を使わずに、何事かを黙って示す、ということになる。示すというより、黙って置くのだろう。その置かれたものに人が何事か気付いてくれればいいし、気付いてくれなければ仕方がない。そのまま黙っている。というふうであったろうと想像している。何事かを説明し、説得する、というようなことはいちばん遠い人だと思うのである。いっぽう秀吉というのは、何事かを示しながらどんどんしゃべる、そんな人ではなかったのか。」
あなたもまた、いかに「黙っておかれた何事か」そのものになっていけるかということが、テーマになっていきそうです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
価値あるものの転倒
今週のいて座は、価値で固められた価値観を転倒させていこうとするような星回り。
『爆発せぬ整備不良の檸檬ばかり』(関悦史)という句のごとし。2023年秋の作で、「檸檬(れもん)」は秋の季語。しかし、掲句の檸檬とは風物詩としてのそれというより、梶井基次郎が小説『檸檬』で丸善を爆発させるべく書棚の前に爆弾のつもりで仕掛けてみせた檸檬のことでしょう。
昭和のはじめに書かれたこの作品と同じことは、令和の今ではすっかり難しくなってしまった。誰もがみな、自分が何に心安らぐのかをよく知らず、ましてや、世間で価値あるとされるものを自分なりの感覚で転倒させることなど、想像することさえできなくなってしまったのではないか。掲句はそんなことを訴えているように思えます。
あなたもまた、自分なりの「檸檬」が作動するよう、しっかりと整備していくことがテーマとなっていくでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
午睡よりも深い倦怠
今週のやぎ座は、社会をよくしよう、正しくあろうとする動きをいったん停止・保留させていこうとするような星回り。
哲学者のジョルジョ・アガンベンは、科学や政治もまた人間が作り出すものである以上「閉じられた世界」であり、例えば動物などは決してそれらを知り得ないにも関わらず、人間以上にいきいきと豊かに生をまっとうしているように見えることについて、「動物の放心」という言葉で表しました。
さらに興味深いことに、アガンベンはそうした動物たちの「真理については何ひとつ知らないし、何ひとつ予期してもいない」状態について、人間の「深い倦怠」と似ているという指摘もしています。
あなたもまた、そんな風に具体的な可能性を活性化しないようにすることによってはじめて、いきいきと豊かに生をまっとうしていくきっかけを見出していくことがテーマとなっていきそうです。