今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
とっておきのエグい一枚
今週のかに座は、求愛ということをまっすぐに追求していこうとするような星回り。
『をんなわれを風呂に沈めて恋の猫』(加藤直子)という句のごとし。「をんなわれ」とずばりと言い切ってみせてから、ざぶりと浴槽にそれを沈める。
そこで沈んでいるのは、洗ってもすすいでもいっこうに消えても軽くもなってくれない、煩悩の実体そのものの重みであり、そこにたまたま窓の外からから聞こえてきた恋猫の声がよくしみ通った。つまり、それは同時に自己の内側から漏れ出てくる声なき声でもあったのでしょう。
あなたもまた、まずは自身の煩悩の重みをはかっていくところから始めてみるべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
月にかわって沈黙よ!
今週のしし座は、自分にとって楽な選択に走って割り切ろうとするのではなく、自身のグレーゾーンな領域をこそ俯瞰的に見つめ続けていこうとするような星回り。
南アフリカ出身の作家ジョン・マクスウェル・クッツェーの小説『恥辱』は、52歳の芯から腐ったような男を主人公としたタイトルの通りどうしようもないお話。
小説としてはまだ序盤の段階にも関わらず、まるで語り手はすでに主人公を見放しているかのように本音を漏らしています。これは単に主人公を見下しているというよりは、哀しみのまなざしであり、単純な善悪や白黒はっきりじゃないグレーな人間を見つめるそれなのだということも分かってきます。
あなたもまた、自身の視界に人間という事象の裏の裏までを見通すだけの奥行きをもうけていきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
“個”であることの解体と相対化
今週のおとめ座は、終わりつつあるものの良し悪しを改めて見定めていこうとするような星回り。
『オリオンの真下春立つ雪の宿』(前田普羅)という句のごとし。
立春とは立ち上ってくる新たな季節の兆しを拾っていく季節であると同時に、次第に終わりゆく季節の残滓を味わっていく季節でもあり、そうした大きな循環の前で「個」であることの軋轢や苦しみを相対化していくのが俳諧の本質なのだとも言えます。
火星と冥王星とが重なって「完全燃焼」が強調されていく今週のあなたもまた、何が自分の精神を鍛え、純化してくれたのか、この機会に振り返ってみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
共に語らうために
今週のてんびん座は、恐れを抱きつつも、大胆にも言葉を発し、誰かと共に語ったりしていこうとするような星回り。
思想家ジュディス・バトラーは「恐れなき発言と抵抗」と題されたセミナーにおいて、「恐れなき発言とは何か、あるいはそれはどのように機能するのか、と問うことで、私たちは、今日の抵抗の構造あるいは意味について重要な何かを見出すことができるかも知れません」と問いかけました。
しかし、バトラーは政治的勇気にとって恐れなき語りが不可欠だとは考えて“いない”と告白します。というのも、私たちはしばしば恐れを乗り越えていないかもしれないが、「それでも語り、恐れつつ大胆であ」ったりしますし、また「語る際に、時に私たちは単に自分自身の声では語っておらず、他者たちと共に語ってい」るからでしょう。
あなたにおいても、自分が何に対して、いかに、また誰と協力しあって「恐れなき発言」を発しているのか、といった「抵抗の形式」は大きな焦点となってくるでしょう。