今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
縁の下の文脈をずらす
今週のさそり座は、考古学的なアプローチにこそ未来を見出していこうとするような星回り。
架空の作品や百科事典を見事なまでにでっち上げることで知られている大作家ボルヘスは、20世紀の初めに”ドン・キホーテを書こうとするフランス人作家”を主人公とした『「ドン・キホーテ」の著者、ピエール・メナール』という小説を書いています。
もちろん『ドン・キホーテ』は17世紀にスペイン人のセルバンテスが母国語でのびのびと書いたものですが、この小説の語り手は20世紀に生きるピエールが外国語の古語を無理に使って書けば、同じテキストであってもそこに宿る意味合いは異なるだろうと言うのです。
あなたもまた、ボルヘスほど見事な仕方ではなくても、まったく新たな意味や概念を作りだすのではなく、むしろ既存の文脈をずらすことで、これまで当たり前のように捉えていた景色の見え方を変えていくことができるかが問われていくでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
理想の終わり
今週のいて座は、いつか必ずやって来るだろう最期を前もって思い描いていくような星回り。
『農夫の葬おのがつくりし菜の花過ぎ』(加藤楸邨)という句のごとし。人様のお葬式というと、その場に居合わせるにせよ、言葉にするにせよ、にこりともせず真面目な顔をしなければいけないという風潮がありますが、ここにはそこはかとないユーモアを感じます。
というのも、掲句に描かれた死は決してみじめな死ではなく、むしろ農夫としてはとても光栄なものだったはずだから。
あなたもまた、理想の人生の終え方を自分なりに明るく構想してみるといいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
宇宙を介したつながりに支えられてこそ
今週のみずがめ座は、愉しみこそが活動を増進させうるということを、理屈を超えたところで改めて確信していくような星回り。
アリストテレスと言えば、今日の科学やテクノロジーを生み出した西洋文明の根幹を支える哲学的な基礎付けを行った人物として、しばしばそのいかにも学者然とした生真面目さの象徴としての位置づけが与えられてきましたが、いま改めて読み直してみるとかえって新鮮な発見が少なくありません。
例えば、『ニコマコス倫理学』において<愉しみ>について述べている箇所―愉しみ(快楽)とは何か―などは、伏せていた身を再び起こさんとしている今のあなたにとって重要な指針となるように思います。
あなたもまた、たとえ普通に見れば悲劇的で、笑える状況ではなかったとしても、どうしたら少しでもその状況を楽しめるのかを最優先に考えていきたいところです。