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[書店めぐり連載#10]魚の本に特化することで食や環境問題に目を向けるきっかけを与えてくれる「SAKANA BOOKS(サカナブックス)」

旅行・おでかけ

特定のジャンルに特化した書店は、興味が湧かないとなかなか訪れる機会も少ないもの。

海に囲まれた私たち日本人の貴重な資源である「魚」をはじめとする「水生生物」や「環境問題」について書かれた本がギュッと同じ書店にあると思うとワクワクしてきませんか?

そんな書店が四谷三丁目にありましたので、レポートしていきます!

週刊つりニュース社屋の1階スペースにある書店

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東京メトロ・丸ノ内線の四谷三丁目から住宅街を進むと、モダンな建物が現れます。今回は、この建物の中にあるお店を紹介します。
この建物は「株式会社週刊つりニュース」の東京本社屋。釣り情報紙『週刊つりニュース』をはじめ、ウェブマガジン 『TSURINEWS』など、釣り人にはおなじみの日本各地の釣り情報を提供しているメディアの本拠地でもあります。
今回「新聞社が本屋さんを?」と興味が湧き、取材依頼をしたところ快くご対応いただきました! さてどんな本が販売されているのか気になりますね。

「魚」を題材としたタイトルを集めた「SAKANA BOOKS(サカナブックス)」

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建物に入ると、いわゆるオフィスビルのエントランスがあり、2階への階段の下に本棚が並ぶスペースが見えました。あそこが本屋さんスペースなのでしょう。

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どの棚を見ても、全て魚の書籍で埋め尽くされています。魚だけでなく水生生物や環境問題をテーマとした書籍も数多く見受けられます。また商業出版ではない自主制作本のラインナップも充実しています。
店名は「SAKANA BOOKS(サカナブックス)」。さっそく店主にお話を聞いてみましょう。

店主の船津紘秋さん

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ーーこんにちは。今日はよろしくお願いいたします! 本棚を見ると魚をメインテーマとして扱っていることがよくわかりました。海というか地球全体の環境に繋がるような書籍が多いですね。
船津さん「ありがとうございます。もともと釣りに関するメディアの発行・運営がメイン事業ではありますが、商談スペースだったところを書店に変えてみました。これは私の独断ですすめました(笑)」。
ーー会社全体としてのプロジェクトではなかったのですね! どんなきっかけで始められたのでしょうか?
船津さん「コロナ禍で商談スペースの稼働が減ったことから、このスペースを活用したいなと。私たちはこれまで釣りの情報を提供してきたメディアですが、その対象となる魚は、資源や多様性の問題で、今曲がり角にあります。以前からそういったことを発信したいとの思いもあり、2022年7月にサカナブックスをオープンしました」。
ーー新聞社が作る書店ということで、周りのサポートなどもありましたか?
船津さん「そういうイメージがあると思いますが、そうでもないんです。私たちが主に作ってきたのは新聞メディアで、出版とはまた違うんですね。ですので書籍や雑誌といった、いわゆる出版方面の繋がりや情報がほぼなかったので、仕入れの方法などは自分で調べたり話を聞いて回ったりしました」。
ーーそういう事情があったのですね。
船津さん「はい、色んな個人系の書店さんも巡りましたし、仕入れ先との関係も、一から構築していきました」。
ーー雑貨や貸し本棚のようなスペースもありますね。
船津さん「海洋プラスチックゴミをリサイクルした小物や、ちょっとめずらしい缶詰、魚の皮で作られた財布など、魚に関連したものが集まっています」。

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船津さん「こちらは『SAKANA APARTMENT(サカナアパートメント)』という棚貸しスペースです。イラスト作品やアクセサリー、陶器などバラエティに富んだグッズが並んでいます」。

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ーー眺めているだけでも楽しいですね! 書籍だけでなく図鑑なども豊富で、親子連れで来ても楽しいですね。
船津さん「そうなんです。このエリアは四谷三丁目駅前の消防博物館や、おもちゃ美術館もあって、親子連れで来られることも多いんですよ。もちろん、魚好きのお子さんと親御さんがここ目当てで来られることもあります」。

今推したい店主おすすめ選書

ここで、船津さんがオススメしたい本を紹介していただきます。

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写真左から
「浦安魚市場のこと」(浦安魚市場写真集製作委員会)
船津さん「2019年3月末で閉場となってしまった浦安魚市場のドキュメンタリー映画があったのですが、その記録集ですね。いろんなお店さんのインタビューや、歴史が感じられる記録写真をまとめた素晴らしいものに仕上がっています。浦安に市場があったことを知っている人もどんどん減っていくと思うので、このようにして記録に残すことは大切ですね」。

「THE FISH 魚と出会う図鑑」(長嶋祐成 著 河出書房新社)
船津さん「魚を描いている長嶋祐成さんが、魚との出会いを絵と文章で綴っているイラストエッセイ集です。魚の色使いや表情が素敵でやさしい文章とともに惹き込まれます」。

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さらに、サカナブックスさんが刊行した本もあるとのことで気になるところです。

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船津さん「ただ本を売るだけではなく、本という形で発信もしたいと考え、SAKANA BOOKSで出版レーベルも立ち上げました。
『水族館人 今まで見てきた景色が変わる15のストーリー』が初めての本ですが、水族館に関わる人たち、例えば飼育員さんはもちろんのこと、水槽や建物を設計した方にもお話を聞いています。
『サカナト vol.1』は、保全活動をする人や魚屋さんなど魚と向き合う人たちへのインタビュー集的な本になっています。次回作も進行中ですよ」。
※サカナブックスのオンラインストアから購入可能

https://sakanabooks.stores.jp/
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