臨床心理士・公認心理師のyukoです。家族のことを好きな子の多くは「親への信頼感」をもっており、そのためには親から子どもに対する信頼感が重要。どのように接していけば、子どもは「うちの親は自分を信頼してくれている」と感じられるのでしょうか。
親を好きな子は家族から“信頼されている子”
思春期になると「うちの親は全然わかってくれない」「親のいうことは信用できない」と反発する子も多いです。一方、なんとなく「まあ、うちの親ならわかってくれるだろう」と感じられる子も。
親を信頼できる子と、そうでない子の間にはどんな違いがあるのでしょうか。
要因は色々ありますが、その中でも「親が子どもを信頼しているかどうか」「信頼している気持ちが伝わっているか」が関係してきます。「信用しているつもり」でもなかなかまっすぐ伝わらないのが親子の難しいところ。
子どもへの信頼を上手に伝えられている親御さんの特徴を考えてみます。
「うちの親は自分のことを信頼している」と思える子の親の特徴
失敗するまで待つ姿勢をもっている
小学生の宿題を例に考えてみます。
多くの親御さんは「宿題をしないで困るのはかわいそう。学校で怒られる前に言ってあげよう」「帰ってからすぐに宿題をしたほうが効率的」と考え、「宿題やったの?」と何度も聞きます。
そして宿題をしていない当の本人よりも、親のほうがイライラしてきて「ゲームより先にやることあるでしょ!」と怒ってゲームを取り上げるなんてときもあるでしょう。
もちろんこの過程を経て宿題に移れる子もいるので、間違った対応ではありません。ですが、一旦子どもを見守り「がみがみ言わなかったらどうするんだろう」と待ってみるのも大切。
それで子ども自ら宿題をすれば一番よいのですが、そううまくもいきませんよね。結局宿題を忘れ、子どもが怒られ、しまいには先生から親も注意されたとき…‥。子どもに今後どうしていきたいか聞いていく関わりも重要です。
「宿題はやらされるもの」と定着させるのもひとつですが、「やるかやらないかは自分で決めていいもの」とし、「失敗したとき一緒に考える」のは子どもを信頼していないとなかなかできないことです。
宿題をやらないとどうなるのか、親自身が心配だからこそ先回りして言い過ぎてしまう側面もあるでしょう。まず子どもが「どうしたいのか」を見守る、そして次に「どうできたらよかったか」と一緒に考える。
待つ姿勢によって、子どもへの信頼を伝えていけるといいですよね。
考えを尊重してくれる
「あなたが決めなさい」と言うのは簡単でも、実際は一筋縄にいかないもの。親子でのコミュニケーションはなかなか難しく、知らず知らずのうちに「あなたが決めなさい(常識の範囲内で)」になってしまうときもあるんですね。
多くの親御さんは子どもにのびのび成長してほしいと願う一方、子どもを守るために、親が経験してきたことや見聞きした情報をフルに活用してあげたくなります。
そんな中、子どもが、親の思う常識から逸れた選択をしようとするとつい拒否反応がでてしまうんですね。
例えば、
・小学校から運動系の習い事を頑張っていたのに、中学は文化系の部活に入るという。
・両親とも理系の職種で、子どもも理数系が得意。なのに文系の学部を志望し始めた。
・今までは一緒に洋服を買うのを親子で楽しんでいたのに、中学になったから友達と買いに行くという。
今まで思い描いていた予想や理想、自身が通ってきた経験から逸れたとき、親は戸惑いやすいもの。しかしそんなとき、子どもの考えをどう受け止めていくかで、子どもが感じる「信頼感」は変わってきます。
「あなたのことを信用している」といっても、子どもが決めたことを全て拒否していたら、言動が一致していないですよね。
一方、心配に思いつつも、どんな理由からその道を希望しているのかを聞き、「今、目の前にいる子ども」を受け止められたら、子どもは「親は自分を尊重してくれている」と感じられるものです。
言葉だけでなく、態度や行動でも「あなたを信頼しているから大丈夫」と伝えていけるといいですよね。