今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「意外とこんなものだった」
今週のかに座は、だるまに眼を入れていくような星回り。
『舟べりにとまりてうすき蛍(ほたる)かな』(高浜虚子)という句のごとし。
はかなげで幻想的な、どこか現実離れしたイメージに過ぎなかった蛍が、その足で舟べりにつかまっている、実体をもった昆虫へと急に変わってしまった。まるで想像の世界から現実の世界へと、今まさに蛍が現れ出てきたというリアルな感覚が呼び起こされている。
あなたもまた、なまなましい実体化の瞬間におのずと立ち会っていくことになりそうです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
回りまわっていくらし
今週のしし座は、心から価値を感じているものを、改めて少しずつ積み重ねていこうとしていくような星回り。
詩人・陸游が生きた今から800年ほど前の中国(南宋)は、中国の北半分が女真族によって占領されていた時代で、陸游は85年にわたる長い生涯にわたって、失なわれた国土の回復をねがい、そのことを歌い続けたことで、憂国の詩人や愛国詩人と呼ばれてきました。
しかし、彼がほんとうに愛していたのは、国という実体のない概念ではなく、あくまで彼が愛した農村生活の平穏であり、家族とのささやかな暮らしだったのかも知れません。
あなたもまた、自分が心から大切に思っているものが何なのか、改めて浮き彫りになっていくはず。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
靴を脱いで世界を広げる
今週のおとめ座は、行動範囲や世界像を狭小にしてしまうような「靴」は大胆に脱ぎ捨てていこうとするような星回り。
『はればれと佐渡の暮れゆく跣足(はだし)かな』(藤本美和子)という句のごとし。靴をはいているのと脱いでいるのとでは、見えてくる風景の解像度がぜんぜん違うことに作者は気付いたはず。
それはここで世界の見方をリセットするきっかけを得たということであり、「はればれ」というのも単に視界の開け度合の問題というだけでなく、それまでの見方を捨て去った解放感でもあるのではないでしょうか。
あなたもまた、思いきって「はればれ」していくなかで、どれだけ世界を広さを取り戻していけるかがテーマとなっていきそうです。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
砂上の楼閣から降りる
今週のてんびん座は、真に信じるに足るものは何かと考え、身をもってそれを実践していこうとするような星回り。
寺山修司のエッセイのなかで、四畳半の安アパートでひとり暮らす私娼の桃子なる人物をとりあげ、彼女でさえ「日当たりのいいアパートに引越しさえすれば、あたしの性格は変わる」と思っており、「ヘアスタイルやモードの変革によって、魂にも新しい日常性が訪れてくるのだ、と信じている」のだと描写しています。
現代社会にもしその桃子がタイムスリップしたなら、同じことを信じて過ごすでしょうか。それとも、「あした必ず起こること」など存在しないのだと啖呵をきって、代わりに「あした自分の手で引き起こすこと」に賭け、幸運との取っ組み合いを始めるでしょうか。
あなたもまた、どんなアクションが「魂に新しい日常性」をもたらしうるか、よくよく考えてみるといいでしょう。