今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ふわり&ふよふよ
今週のさそり座は、ちょっとした、微妙な道徳律が指し示されていくような星回り。
『キューピーの翼小さしみなみかぜ』(高柳克弘)という句のごとし。「キューピー」は、もともとは20世紀初頭にアメリカのイラストレーターであるローズ・オニールが天使をモチーフに生み出したキャラクター。かつては神と人間の中間に位置し、人間の運命を左右する強大な存在と考えられていましたが、今や掲句にもあるように、その翼はほんの小さく、髪もほんのちょっぴり。
しかし、「翼小さし」という表現には、どこかそうしたネガティブな意味とは異なる積極的な意味が、作者を通して込められているように思います。
あなたもまた、ふわりとうなじをなでていくくらいの霊威の訪れを、確かに感じ取っていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
迷宮巡礼
今週のいて座は、めくるめく沈黙の深みにをみずからに沈めていこうとするような星回り。
16世紀イタリアの画家バルトロメオ・ヴェネト作のある若い貴族の肖像画は、モデルとなった人物が誰なのかは不明ですが、衣服の胸のあたりに迷宮がデザインされていて、人物が手でそれをなぞっているところを描いた絵になっています。
迷宮は当時のルネサンス人たちにとってこの世の生そのものを表すと同時に、脳のアナロジーでもありましたが、ある人物がそれをまとっている場合、それは守るべき沈黙が存在していることを示す象徴形態であることを意味していました。
あなたもまた、そうした数百年前の異国の貴族のごとき決意と行動へと、いかに近づいていくことができるかが問われていくはず。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
肚をきめるということ
今週のやぎ座は、背負うべき重責や問題から逃げずに正面から向かっていこうとするような星回り。
『胸重く片蔭戻る人の恩』(石塚友二)という句のごとし。
人の恩をうけたそのことに胸が重いというのは、相手になみなみならぬ迷惑をかけている自覚が本人にあるからこそであり、当然すぐにでもその恩に報いたいがそれが当面は不可能であることが作者にはよく分かっていて、そうしたどうにもならない苦しい状況でも肚をきめて顔をあげた時の人間の真剣味が、掲句から伝わってくるはず。
あなたもまた、ときには時代と逆行してでも誠実な度胸をもって面倒事にぶち当たっていきたいところです。