走り続ける人
挑戦の連続という神崎さんの人生。「やりたいことがなくならないんです、私。そのやりたいことをこれからもできるだけ実現したいなと思っています。人生の最期を描くとしたら、デスクに突っ伏して(笑)。まだやりたいことがある状態で、デスクで死ねたら最高!」。
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小さな挑戦でもいい。停滞を感じたら踏み出してみる
仕事、家事、家族との時間、そして自分のための美容や息抜きのひとときまで……神崎さんの一日は濃密だ。常に新しいことにトライし、「走っている」印象だけど、何かに挑戦し続けるその原動力って?
「もう、あれやりたい、これやりたいって湧き出てくるから、あとは時間や体力と相談するだけという感じなんです。面白いですよ、何かに挑戦し続けるって。私の生きがいだと思っています」。立ち止まらない、変わることを恐れない、それが神崎さんの神崎さんらしさ。とはいえ現実には「変えること、変わることが怖い」と思う人も少なくない。
「でも、大きい挑戦だけが挑戦じゃないですからね。人からは見えなくても、自分の中で変わったなと思えればいいんです。それこそ新しいコスメを取り入れてみたり、髪を少し変えてみたり。見た目っていちばんダイレクトな刺激になりますから。人生がつまらなくなるのも、楽しくなるのも自分次第なので、『なんだかな……』と感じているときは、動くことにしています」
小さな挑戦のきっかけにもなる美容について伝える仕事を、神崎さんは長く続けてきている。インスタライブでは、「画面越しじゃないみたい」な身近さを感じると評判だ。
「それは私がプロでない側から美容家になったという面も大きいかもしれません。伝えるときには、もちろん正しい知識は持っていなければならないけれど、見る人と同じ立ち位置、目線でいたいと思っていて。知らなければ困ったり、怖かったりするけれど、知っていたら楽になることっていっぱいあるじゃないですか。そういう知識を先輩方から聞くのはとてもありがたいと私は思っていたから、私も皆さんと共有したい。おばあちゃんの知恵袋みたいな(笑)」。女性たちに寄り添って伴走する、“シスターフッド”の精神が神崎さんの中にはいつもある。
若い頃の自分に引きずられている人生はつまらない
年とともに輝きを増している神崎さん。それはきっと年齢を重ねることを楽しんでいるから。
「若いときの自分に引きずられていると、楽しいと思えないんじゃないでしょうか。私、昔の写真を見返すことってほぼないんですよ。若くてキレイなのは当たり前。でも、その“年齢ブースト”が消えてからのほうが、自分がしてきたことや学んできたことがにじみ出てくるから、価値があると思います」
人生が無限大に感じられた20代とは違い、この先、年を重ねる自分が視野に入ってくる30代。その年代で大切なのは?
「まず年を取っていく自分を認めることじゃないでしょうか。周囲の先輩方を見ていても、『年取るのイヤだよね』と言いながらもめちゃくちゃポジティブ。年を取ることに心を痛めるのではなく、メンテナンスやリフレッシュで微調整しているし、そのための行動力も持っている。私もそうありたいと思います」
仕事をすること、生活すること、さらに生きることを丸ごと楽しんでいる神崎さん。今を、そして未来を見据えながら、ずっと走り続けるに違いない。
モデル・メイク/神崎 恵 撮影/三瓶康友 ヘア/工藤由佳〈Un ami〉 スタイリスト/石関靖子 取材・原文/入江信子 構成/中島 彩 ※BAILA2024年7月号掲載