ものが少なくすっきりとした部屋が理想だけれど、こざっぱりとしすぎた印象にはしたくないという方も多いのではないでしょうか。そこで参考にしたいのが、ミニマリストのめいさん宅のインテリア。余計なものがなく、少しの無垢材の家具や作家ものの日用品に趣が感じられます。「シンプル」なだけではなく、温かみと洗練された雰囲気を兼ね備えた部屋作りのポイントを教えていただきました。
「シンプル」で終わらない、表情豊かな部屋を作るには
余計なものを持たないシンプルな暮らしは、いまや多くの人の憧れ。ただ、画一的な家具やモノトーンの収納グッズだけを揃えるのではなく、自分らしい表情のある部屋を目指したいという方もいるのではないでしょうか。
アロマ・植物療法士のミニマリスト・めいさんは、注文住宅の一軒家で家族3人が心地よく過ごせるようにと、置くものは本当に好きなものだけに厳選。木の表情が活きた家具と、植物や香りのアイテムで彩られた余白のある空間に風を入れ、日の光の移ろいやそれによって生まれる影も楽しんでいます。
ただシンプルなのではなく、こうした趣のある部屋にするにはどうしたらよいのか。めいさんが意識していることを伺いました。
まずは余計なものは一掃。ベースを整える
心地よく過ごせる空間にするには、おしゃれなインテリアを揃えるといったことよりもまず、余計なものをなくすことが第一歩。
めいさんも、不要なガラクタを置かないよう徹底。以前はたくさんのものを持っていましたが、一つひとつと向き合い、本当に好きなものや必ず使うもの以外は手放しました。
手元に残したものも、8割は隠す収納にして、必要なとき以外は視界に入らないようにしています。
「細かいものをできる限り視界からなくすと、そわそわした感覚が消え、身も心も休まりやすくなります」(めいさん、以下同)
家具から日用品まで、アイテム選びを工夫する
ポイント1. テイストを明確にして統一する
余計なものをなくした空間に置く家具や小物は、長く使い続けられるお気に入りだけに。
そのとき、素敵だと思ったものをただ集めると雑多な印象になりがちです。それを避ける方法は、テイストを統一すること。めいさんは、シンプルなデザインを選ぶだけではなく、好みの色味や質感なども明確にしています。
色味はホワイトのほか、ベージュやグレーなどで、特にくすみがかった色合いのもの。質感は木材や綿・麻など、天然素材のナチュラルで温かみが感じられる雰囲気が好きなので、それ以外は置かないと決めています。
ポイント2. 家具には表情と経年変化を楽しめる天然木を
家具は、木の自然な表情と経年変化を楽しめる天然木のものにしようと決め、ダイニングチェアにはシャープなラインが際立つ飛騨産業の「SEOTO-EX セミアームチェア」を購入しました。それ以外は理想どおりのものが見つけられなかったため、キッチン周りのダイニングテーブルや収納棚を造作にしただけではなく、ローテーブルやテレビボードなどもすべてオーダーに。
オーダーの際には、木の色は「濃い茶色よりは薄い茶色で、赤味よりは黄色味で」と基準を設け、オークやタモ、スギなどを選択。さらに、モルタルのような左官仕上げ材・モールテックスや金属を一部に使い、ソフトになりすぎないようバランスをとりました。その結果「ありそうでない、唯一無二の建具や家具でまとめることができた」と感じているそう。
ポイント3. 暮らしの道具も味わいが感じられるものに
そんなリビングやダイニングなどで使う日用品も、無機質なプラスチック製品などは避け、作家さんや職人さんによって作られたガラスや陶器、木製品などを選んでいます。デザインやフォルムが美しいだけではなく、手仕事ならではの味わいや素材感が残っていて、手に触れたときに温かみを感じるようなものです。
「質の高いものを選んで大切に使う空間では、自然とものがごちゃつかなくなります」
ポイント4. 植物や香りのアイテムを彩りとして加える
シンプルな空間のなかでポイントになり、心地よさをアップしてくれるのが、植物や精油・キャンドルなどです。
植物はフォルムが美しいものを置きたいというめいさん。よく選ぶのは、アカシアやユーカリなどでよく知られる、しなやかな形状の花や葉のものが豊富なオージープランツです。
合わせる鉢は、くすんだ色味とざらりとした手触りが特徴の陶器や、落ち着いたグレーが経年変化していく亜鉛製のもの。花瓶は、個展などで一目惚れした陶器やガラス製のアイテムです。どれも模様はなく、草花の表情が映えるデザイン。
めいさんにとって、精油やお香などは欠かせない癒しのアイテム。精油は質が高いオーガニック製品の精油をメインに、香りのよさはもちろん、見た目が好みのシンプルなものを選んでいます。
「使っても、眺めるだけでもときめくものがあると、幸福感でいっぱいになります」