今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
白痴だ
今週のさそり座は、大人物になったつもりで目の前の出来事を平然と受け流していくような星回り。
『物の本西瓜の汁をこぼしたる』(高浜虚子)という句のごとし。「西瓜(すいか)」を食べながら本を読んでいたら、ついつい赤い果汁がその本に落ちてしまったのだという。
とはいえ、「物の本」と言うくらいですから、そんなに高価でも高尚なものでもなく、気軽に読める雑誌のような本だったのかも知れません。そして、当の作者自身もちょっと手ぬぐいで拭いたくらいで、何事もなかったかのように本を読み続けたのではないでしょうか。
あなたもまた、これくらいの大らかな気構えで横たわっていきたいものです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
背面で交われ
今週のいて座は、「知性」という概念をときほぐしていこうとするような星回り。
『タコの心身問題―頭足類から考える意識の起源―』を書いたピーター・ゴドフリー=スミスは、タコとヒトが示す知性は互いによく似てはいるが、それは「他人のそら似」以上のものではなく、進化生物学的には「相同」ではなく、「相似」的類似性と呼ばれるものに相当するのだと言います。
すなわち、昆虫の翅(はね)と鳥の翼の類似性のようなもので、起源が違うもの同士が図らずも似たような形や機能にたどり着いたというだけで、互いに無縁なものであると。
あなたもまた、これまで「特に響くものがない」などと怠慢な言い方で切り捨ててきた相手や対象の中に、改めて乞うべきものや見るべきものを見出していくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
素直になれ
今週のやぎ座は、ここしばらく密かに感じていたことを思いきり全身で表現していこうとするような星回り。
『吊橋や百歩の宙(ちゅう)の秋の風』(水原秋櫻子)という句のごとし。
「百歩の宙」という表現は、まさにそんなこの世界でいつの間にかひとりになってしまったようでもあれば、地上にはじめて降り立った時のようでもあるような宇宙的孤独の“感じ”を、重くなることなくあくまで軽やかに言い表しているように感じます。
あなたもまた、いくらなかったことにしようとしても消すことのできなかった実感や感覚が、ここにきて一気に膨張していきやすいでしょう。