健康や美容を意識する人の多くが注目している腸活。便秘改善や免疫力アップ、ダイエット効果などたくさんのメリットが期待できますが、正しい方法で行わないと逆効果になってしまうことも。今回は腸活の効果や正しい方法について、薬剤師の碇純子さんに伺いました。
そもそも「腸活」とは?
腸活とは腸内フローラのバランスを整えて、健康的な腸内環境を目指す取り組みのこと。
私たちの腸内には健康に欠かせない多くの腸内細菌が生息していて、その数は約1,000種、計100兆個にものぼります。(※1)これらの腸内細菌が形成する生態系が「腸内フローラ」です。
腸内細菌は主に善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分類され、理想的なバランスは2:1:7とされています。(※2)
腸内フローラのバランスを整える具体的な方法としては以下のことが挙げられます。
腸内の善玉菌を増やす
善玉菌には、腸内を弱酸性に保ち、アルカリ性の環境を好む悪玉菌の増殖を抑える働きがあります。代表的な善玉菌は、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌などです。
腸活の主な目的は、この善玉菌を増やすことです。
さまざまな種類の菌が共存する腸内環境を作る
腸内細菌の多様性も腸活には大切です。
先述の通り、腸内には約1,000種類もの腸内細菌が存在します。ですが、加齢とともに腸内細菌の種類が減少し、それによってからだに悪影響をもたらす可能性があるといわれています。(※3)
そのため、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合を重視するだけでなく、多種多様な種類の菌が共存する腸内環境を作ることが重要です。
腸活による効果
腸活と聞くと、便秘解消につながるイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。次のようなうれしい健康効果も期待できます。
免疫力が上がる
免疫細胞の約70%は小腸の粘膜に存在する(※4)といわれており、腸内環境を整えることで免疫力が上がるとされています。
腸活をすると腸内のバリア機能が強化され、病原菌やウイルスがからだへ侵入するのを防げるでしょう。(※5)
ダイエット効果
腸内細菌は、オリゴ糖や食物繊維を分解・発酵し、短鎖脂肪酸を生成します。
短鎖脂肪酸には余分な脂肪がたまるのを防ぎ、脂肪燃焼を高める効果があるとされています。そのため、ダイエット効果が期待できるでしょう。(※6)
肌トラブルを予防する
腸内環境の乱れは肌に悪影響を及ぼします。
悪玉菌が増えると、有害物質が腸から血液に入り、肌に到達して肌荒れやニキビを引き起こすと考えられています。肌荒れが気になる人は、腸内環境の改善を意識すると良いでしょう。(※4)
睡眠の質が上がる
良い睡眠のためには、腸内環境を整えることが大切です。
腸内細菌はタンパク質を分解して、トリプトファンという必須アミノ酸を作ります。トリプトファンは睡眠ホルモンであるメラトニンの生成に関わるので、眠りを誘う効果が期待できます。(※4)
正しい腸活の方法を紹介
腸内フローラのバランスを整え、健康なからだに導くための具体的な方法は以下の通りです。