今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
私であるとは何であることなのか
今週のさそり座は、家系であれ歴史であれ、潜在的な<私>の在処をそれとなく追いかけ、思いを馳せていくような星回り。
『マトリックス』に多大な影響を与えた士郎正宗の『攻殻機動隊』の作品世界では、人間はほとんどがサイボーグ化され、身体は自由に付け替えのきく「義体」と呼ばれるものとなっています。
この作品では、「ゴースト」「魂」「生命体」などと表現される存在者が世界の中に客観的に存在し、それが何らかの器に宿るといわば自我が生じるかのように考えられていますが、それは90年代初期という時代を考慮してもやや素朴に感じられます。
あなたもまた、そもそも私であるということは何であることなのか、といった謎の感覚が改めて呼び覚まされていきやすいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
さりげなく異分子を招き入れる
今週のいて座は、共感や理解などを介さない相手の存在をこそ大切にしていこうとするような星回り。
『部屋内に北極熊がゐることを誰に告げるともなく暮らしをり』(笹井宏之)という歌のごとし。
シロクマの存在は、ここでは精緻な定義を追求していくより「どこか親しみを感じる異分子」だとか「外部であるような内部」といった曖昧さを含んだイメージとして楽しんでいった方がいいでしょう。
あなたもまた、シロクマのような異族的な存在を含んでいくことで、かえって世界が広くなっていくのを感じることができるはず。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
見つけたり見つけられたり
今週のやぎ座は、自分がはいずりまわっている地上の在り様やそこでの発見を語り継いでいこうとするような星回り。
予想不可能な出来事の渦中にある時ほど「虫の眼」で物事を見ていくことが大切になると説いていたのは、精神科医の中井久夫でした。
中井は『昨日のごとく―災厄の年の記録』という本の中で、1995年の阪神・淡路大震災とその直後の日々を送る自身のまなざしの在り方について、「これは決して鳥の眼でみたこの一年ではない。地上をはいずりまわる虫の眼でみている私は多くを見落とし、多くをぼんやりと、多くを間違ってみているだろう」と書いていました。
あなたもまた、彼のような粘り強く思索を深めていく態度とともに、自身の「虫の眼」もまた改めて大切にしていきたいところです。