今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
思考放棄へのキャンセル
今週のかに座は、みずからの精神の「酔い」を少しでも醒ましていこうとするような星回り。
レビヤタンは、聖書に登場していくる硬いうろこと巨体を持って火を噴く怪物であり、「神の敵」や「悪の象徴」として語られることの多い存在。
しかしアランはここで、戦争というものをごく些細な「争いごとを通して、人間精神が恐るべき獣ともなりえる」その延長線上にあるものとして描き出そうとしており、人間が群れをなそうとする限り、レビヤタンはその傍らにあり続け、自由な判断を呑みこむだろうと言うのです。
あなたもまた、ひとり静かにある時よりも、誰かとともに昂ぶっているときほどアランの言葉を思い出していくべし。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
白衣を脱ぐ
今週のしし座は、これまでの自分をスーッと明け渡していこうとするような星回り。
『榠樝の実が土打つ一度きりの音』(村上鞆彦)という句のごとし。
「土打つ一度きりの音」という出来事はほんらい人間社会には属していない、その外に広がる世界の一部である訳ですが、作者はあえてそれを「一度きり」と表すことで、グッと人間の側に寄せてみせているのだとも言えます。
あなたもまた、いったん虚ろになって器をからっぽにしていくためのきっかけを得ていきやすいはず。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
死者を見守る
今週のおとめ座は、境界線がかき乱されて自分のものではないはずの気持ちや想いがスッーっと混入してくるような星回り。
民族学者の柳田國男は『先祖の話』の中で、かつて日本には「戦や旅の空で、何の遺言も無しに死んだ者は、一度は寄せてやらぬと唖の子が生まれる」という俗信があったことを報告していますが、引用部分の「寄せる」という語に注目してほしい。
これはイタコに代表されるような口寄せ巫女が、みずからに死者の霊を憑依させてその想いを代弁することを指す言葉であり、旅や移動の途中で行き倒れになったまま死者の霊を放置してしまうと、現世の者になんらかのマイナスの作用を及ぼすということが信じられていたわけです。
あなたもまた、一見すると自分とは無関係に思えるような他者への「同情と畏れ」の感情を不意に抱いてしまうようなことが起きていきやすいかも知れません。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
おっくうなたましい
今週のてんびん座は、上昇よりも下降を検討していこうとするような星回り。
『病雁(やむかり)の夜寒(よさむ)に落ちて旅寝かな』(松尾芭蕉)という句のごとし。
「雁」は天と地、北方と南方とを行き来する渡り鳥であり、いずれか1つの世界では生きられない生き物ですが、ここでは「落ちる」「病む」といった本来は雄大でダイナミックであるべき彼らの運動の停滞や衰弱が強調されています。しかしそれは、河合隼雄風に言えばむしろ「たましいの仕事」をすることを意味するのではないでしょうか。
あなたもまた、表面的に目の前のことをうまくこなすことよりも、大胆な停滞や衰弱への踏み込みの先に広がる可能性にこそ活路を見出していきたいところです。