今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
時空をこえて
今週のかに座は、「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」(橋本多佳子)という句のごとし。あるいは、意図的に自身に激しい揺さぶりをかけていこうとするような星回り。
作者は掲句を詠んだ12年前に20年連れ添った夫を亡くしており、これは夫への追慕の句でもありました。
ここでは雪と作者はほとんど同化しており、雪が過去の出来事をありありと現前させる“依り代”のような役割を果たすと同時に、音もたてずにしんしんと降り続けるその様子が作者の思いの激しさを最大限に際立たせているように思われます。
今週のあなたもまた、自分にとって何が感情表出のトリガーとなるのかということをよくよく弁えていきたいところです。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
土人的休耕
今週のしし座は、「土人でいいんですよ」という水木しげるの発言のごとし。あるいは、いっそ土人になったつもりで、ますます我に返っていこうとするような星回り。
現代の日本社会には「暇なこと=格好悪い」「孤独=不幸」という等式が根づよくはびこっているように思いますが、果たして「孤独な暇人」であることは本当に不幸せでダサいことなのでしょうか。
本質的なところで自分に豊かさをもたらしてくれる“ふるさと”というか、目に見えない実存の根拠との繋がりを失った人ほど、市場経済社会の奔流のなかで中身空っぽな虚像に振り回されつづけ、我を忘れていくような人生を送っていくように思います。
今週のあなたは、目に見えないところで繋がっている“ふるさと”の在りかを再確認していくことがテーマとなっていきそうです。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
餌を取るために飛ぶな
今週のおとめ座は、「寒の雷びりりびりりと真夜(まよ)の玻瑠(はり)」(加藤楸邨)という句のごとし。あるいは、今の自分に必要な緊張感をもたらしてくれる環境や相手の元へと足を運んでいこうとするような星回り。
静寂に包まれた真夜中、今にも眠りにつきそうになったときに近くで雷が鳴った。驚いて身を起こした作者ですが、どちらかと言うと窓の外の雷そのものよりも、静寂な室内に響いたその音のほうが精神に緊張感をもたらしたはず。寒雷を体験した以前と以後とで、作者のまわりに漂う空気感は一変してしまったのです。
今週のあなたもまた、そうして自分の在り方を一変させてくれるようなシチュエーションへとおのずと引き寄せられていきやすいはず。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
貝殻の分泌
今週のてんびん座は、「他力の美しさ」のほうへ。あるいは、一見すると不自由な制約や服従の内に進んで入っていくことで、かえって歪みをただしていこうとするような星回り。
柳宗悦は『手仕事の日本』の中で、「人間の真価は、その日常の暮らしの中に、最も正直に示される」のであって、日々の暮らしの中で用いられる器ものなどの実用品が何か卑しいものとされ、美術館に飾られる美術品とくらべて軽くみられる風潮を受け、実用品を「不自由な藝術」と呼びつつ、不自由さゆえにかえって現れてくる美しさがあるのだと述べました。
今週のあなたもまた、自分自身を美術品としてではなく実用品と見なし、その価値をできるだけ引き出してくれるような要求や用途に従っていくべし。