今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
しあわせの由縁
今週のさそり座は、「熱燗の夫にも捨てし夢あらむ」(西村和子)という句のごとし。あるいは、分断を乗り越えて繋がっていくための言葉を咄嗟に紡ぎ出していくような星回り。
この句は作者が24歳で結婚してから8年ほど過ぎた頃のもの。2人目の子供ができたこともあって、当時はもう俳句をやめなければと悩むほどに時間が取れなくなっていたそうで、そんなある夜、仕事から帰ってきて晩酌をはじめた夫の横顔を見ていて、なんとなく口をついて出てきた言葉がそのまま五七五に乗って句になったのでしょう。
今週のあなたもまた、「私の方が」や「あんたなんて」という言葉を吞み込んで、その代わりに「私なんて」や「あなたもまた」という言葉を呟いていきたいところです。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
“愛され”など目指さない
今週のいて座は、「悪尉」の面に宿りしもののごとし。あるいは、人生のにがにがしさをあらためて噛みしめていこうとするような星回り。
人が自身の自尊心の在りようを自覚するのは、多くの場合、それを不本意な形で挫かれた時でしょう。挫かれたものが魂と深く結びついたものであればあるほど、ただ悲しみに打ちひしがれるだけで済ますことはできず、ある種のコンプレックスや根深い恨みとなって、深いところで本人を突き動かしていくようになっていく。
今週のあなたもまた、敗北と累積の中から自然に起きあがってくる「<負>の志」をここぞとばかりに呼び覚ましていくべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
ただ見つめていられる空白が
今週のやぎ座は、「冬河原独りになりに来てふたり」(藤井あかり)という句のごとし。あるいは、離脱や中断、逃避や断絶をみずからに取り入れていくような星回り。
水流が衰えたり、涸れてしまったりする冬の河原は人気がなく、どこか寂しげで、だからこそこの世の煩わしさから逃避して独りになるには絶好の場所に思われます。ただ、いざ河原でひとりきりで佇んでみると、かすかな綻びからわずかに「かつての私」や「普段は隠している顔」が見え隠れするため、結果的に私が私であるということが一枚岩ではなくなって、分裂してしまった。
深く呼吸するためにはいったん日常や現実と距離をとることが不可欠であり、「ふたり」になるためにはその場から離れること、そして、まるで他人事のように自分自身をただ見つめていられる空白が必要なのです。
今週のあなたもまた、そうした“空っぽさ”をめぐる実践をどこかで試みてみるべし。
今週のみずがめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
大胆な目的の組み換えを
今週のみずがめ座のテーマは、リベラリズムの再定義。あるいは、正しさや真理への暴力的な駆り立てに対して今こそ「怠ける自由」を行使していこうとするような星回り。
「怠ける自由」というのは、社会やコミュニティのなかで“正しさ”や“(唯一の)真理”が強制力を発揮して、右向け右の空気感が高まるほど、その重要性が増していきますが、最近の日本社会もまたそうした風潮が強くなってきているのではないでしょうか。
今週のあなたもまた、他の誰かに勝手に決められた目的を破壊したり、怠けたり、新たな目的を作ったりしてみるといいでしょう。