今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
おぼつかない歌をたよりに
今週のさそり座は、これで終わっていいの?と自問した末にこれまで踏み出せなかった一歩を踏み出していこうとするような星回り。
『水温む鯨が海を選んだ日』(土肥あき子)という句のごとし。
手に触れてみた海水に予想外のあたたかみを感じて、「あっ、きっとこんな日だったんだな。鯨が陸ではなく海で生きることを選んだのは」と日常的な感覚を空間的にも時間的にも途方もないスケールまで拡大させてみせたのでしょう。
あなたもまた、そんなはるか昔の鯨の祖先の決断を思い起こしてみるといいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
悪の由来を知ること
今週のいて座は、社会制度の組み立てが性悪説になる理由や前提に改めて立ち返っていくような星回り。
人間というのはどうしても、つい自分のことを善意の存在だと思い込んでしまうところがありますが、シュタイナーがよく「みんな悪魔です」と言っていたように、自分もまた悪が人格化した存在である悪魔であるということから出発しなければ成熟した自己認識にはけっして至りえないのではないでしょうか。
その点で、近代的な合理主義が捨て去った人間の非合理な要素を打ち出したロマン主義を代表するひとりであるゲーテの『ファウスト』の書斎の場面に出てくる悪魔メフィストフェレスの「悪は入るときは自由だが、出るときは奴隷のように不自由だ」という言葉は、とても重要な示唆を含んでいるように思います。
あなたもまた、メフィストフェレスの言葉を繰り返し口に出して唱えながら過ごしていくくらいでちょうどいいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
そこはかとない抵抗
今週のやぎ座は、エネルギー保存の法則を破って振れやブレをつくり出していこうとするような星回り。
『初恋のあとの永生き春満月』(池田澄子)という句のごとし。
初恋に破れた人は、自分のことを世界一不幸な人間であるとか、もう死んでしまいたいと真剣に考えるはずですが、その一方で、皆たくましくもその後の生き方を見つけ、また新たな恋をしてきたはず。作者はきっとそんな自身のこれまでに半ば満足しつつも、どこかでもう一度世界に振れやブレの余地はないものかとうっすら考えていたのかも知れません。
あなたもまた、当惑したり、ためらったり、困っているときに伝わるコミュニケーションにおのれを目一杯かたむけていきたいところです。