今週のさそり座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
アリアドネの糸をつむぐ
今週のさそり座は、霊感を呼び覚ますためのメカニズムをきちんと始動させていこうとするような星回り。
作家ロベール・パンジェは、小説の最初の冒頭の一文を書くことほど、精神の並外れた集中を必要とする瞬間はないのだと説いています。
しかし同時に、その具体的な注意点として、「いっさい飲み食いしていない状態ではじめるということ」が大事であり、自分の場合、朝起きてから文章をひとつ産み出すまで、30分か45分ぐらいかけて、霊感を呼び覚ますメカニズムを始動させ、それから朝食をとるのだとも述べています。
あなたもまた、占星術上の一年の始まりに際して、いっそ作家として特別な儀式に臨んでいくつもりで過ごしてみるといいでしょう。
今週のいて座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
発酵・祝祭・エンタメ
今週のいて座は、誰に何と言われようとも、思いっきりふざけ倒していこうとするような星回り。
『日の春をさすがいづこも野は厠(かわや)』(高山れおな)という句のごとし。
仏教に伝わる地獄が階層構造になっていて、実にさまざまな地獄があるように、西方浄土であれ何であれ、どこかにこういう「厠天国」があるのかも知れない。その瞬間、作者はもはやいっさい躊躇することなく野原に足を踏み出したのだろう(知らんけど)。
あなたもまた、作者が厠天国を創出したように、あるはずのない豊かさをこの世につくり出していくべく発奮すべし。
今週のやぎ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
故郷のほんとう
今週のやぎ座は、古びた同質性集団を刷新してくれるような「個」を見出していこうとするような星回り。
「種」というものについて改めて考えてみると、「類・種・個」という概念の三つ組のうちに中間にあたるのが「種」で、たとえば動物を「類」とした場合、人間は種にあたり、その中で名前に紐づいた各人を「個」と呼びます。
哲学者の田邊元はこの「種」というものを「種的基体」、すなわち「力学性を孕んだ多様体」として考えていました。「個」というものを、単に種を分割していった結果現われてくるものとして考えるのでなく、その根源としての多様でカオスな種自身が、みずからを否定し種を蹴り立てるようにして生成されてくるものなのだと捉えた訳ですが、ここで云う「個」というのは、一足早く変異をとげた“先覚者”であり、“ニュータイプ”のことなのでしょう。
あなたもまた、みずからが属してきた「種」そのものを否定する力と一体化していく動きが加速化していきやすいでしょう。