今週のかに座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
心の眼が開くほうへ
今週のかに座は、平穏なだけの生活では到底見えなかったであろうものに視界が開け、ビビッドに見えてくるような星回り。
「障害は世界を捉え直す視点」をテーマにキュレーターやプロデューサーとして活動している田中ひとみさんという方が、写真を用いた絵本を目が見える人と見えない人とで共有する読書会をしたのだとか。
その時の話が面白くて、最初はそこに何が写っているかを見える人が、見えない人に説明するという構図ができるそうですが、時間の経過とともに、そこに見えていない個人の経験や思い出について、視覚の有無関係なくみんなが語り始めていったのだそうです。
かに座もまた、よりよい未来を創造していくためにも、自分が開かれていくような場へと積極的に足を運んでみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
「また見つかった永遠」を
今週のしし座は、日常から離れてスーッと異界へ誘われていくような星回り。
『ラムネみな冷え川底のいろとなる』(梶原美邦)という句のごとし。通常の俳句のリズムである「5・7・5」とは異なり、掲句は「7・5・5」という前倒しで展開し、後半を短く切り詰めることで、かえって余白が大きくなり、読者の想像を深く誘う構成になっています。
掲句は若々しさと静けさ、日常と異界、はかなさと永遠性とが、わずか17音のうちに独特の律動のなかで交錯していく一種の詩的トンネルなのです。
あなたもまた、そうした日常のすぐ隣りにある異界へと沈みこんでいくような感覚に、鮮やかに射抜かれていくことになるはず。
今週のおとめ座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
くらがえは、残酷に
今週のおとめ座は、みずからの既存の生態を変えることを真剣に検討していこうとするような星回り。
1950年代終わりに発表された『楢山節考』以来、日本の大衆文化の規格や制度的な枠に呑み込まれることなく、「日本国」というリアリティを平然と越えていった数少ない日本語文学の担い手であった作家の深沢七郎の最大の特徴は、“お上”を信じるという体質をまったく持ち合わせていなかった点にありました。
深沢は商人の家に生まれ、中学卒業後にデッチ奉公に出され、何回も奉公先をくらがえしたのだそうですが、その胸の内について「生態を変える記」というエッセイで述べています。
あなたもまた、お上の滑稽な妄想や我儘に付き合う代わりに、ひょいと自分なりの「くらがえ」にいそしんでみるといいかも知れません。
今週のてんびん座の運勢
illustration by ニシイズミユカ
もう1つの夢を見るために
今週のてんびん座は、自身の呪いへの絶望を小さな祈りに変えていこうとするような星回り。
『生真面目を悔み茅の輪をくぐるなり』(能村研三)という句のごとし。
ここで示されているのは「正しさ」に囚われてきた人間が、その正しさをすら手放したいと願う静かな絶望であり、生真面目であった過去を「生の不器用さ」として告白する小さな祈りとも言えるのではないでしょうか。
あなたもまた、誠実に生きていこうとすればするほど抱えていかざるを得ない矛盾や葛藤を、棚卸ししていくことがテーマとなっていきそうです。