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「ママ、イライラしてる?」と言われたら。“察しすぎない”親子関係のつくり方

臨床心理士・公認心理師のyukoです。何も言ってないのに、「怒ってる?」とか「機嫌悪い?」と聞かれて、「気遣わせてるな」と思うことがあるという相談をよくお聞きします。 親の“イラッとした表情”や“ため息”は親が思う以上に子どもが敏感に読み取るんですね。察する必要のない親子の雰囲気づくりと、コミュニケーションを考えます。

「感情の温度」、察知されてませんか?

「ママ、なんかイライラしてる?」と娘から問われる。「え、何もないけどなんで?」と答えると、「いや、別に」と会話が終わる。ただソファで黙っていただけで、何も言っていないし怒ってもいないのに、なぜあんな風に聞いてきたんだろう。たしかに思い返すと、職場で理不尽な文句を言われ、帰り道は少しイライラしていた。でも表には出さないようにしていたのに。

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子どもは、言葉よりも前に空気や気配から大人の情緒を読み取る力が身についています。
赤ちゃんの頃から、人は緊張した雰囲気を察したり、怒っている顔を見て不安そうな表情をしたりします。
年齢とともに感情を読み取るセンサーは高度になり、小学校高学年くらいになると感情の温度も瞬時に察知するようになるんです。

「ママが笑ってるのに怖い」「パパは黙ってても怒ってる気がする」という感覚を、幼少期に感じたことがある方は多いのではないでしょうか。
子どもが不安を感じるとき、多くの場合、大人の中に「表現されずに残っている感情」が空気として立ち上ります。
ため息や無言の圧力だけではなく、「感情があるのに、ないふりをしている」ことが、子どもにとって“不安定な雰囲気”になってしまうんです。

「感情の矛盾」にどう向き合っていくか。

子どもが明らかに落ち込んでいるのに、「大丈夫」と言うとき、“そんなことないのに”と心配になりますよね。
子どもも同じです。親が「怒ってないよ」と言いながら目が笑っていない、「全然大丈夫」と言いつつ言葉少なくなる。
大人が無意識にしているこうした“感情の矛盾”に、極めて敏感なんですね。

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現代は言葉の選び方に細心の注意を払わなければならず、注意をしていてもコミュニケーションがうまくいかないことが多い時代。
共感疲れや、SNS疲れも多い今、親である私たちも、「感じていい」「出していい」「話してもいい」と思える時間や場所を持っている必要があるんですね。

だからこそまず必要なのは、親自身が一人の人間として「今日は疲れてる」「仕事で悔しいことがあった」と認め、子どものためではなく自分のために言葉にするのが大切です。

時には子どもではなく、自分を優先する時間を。

忙しく過ごしていると、子どもが元気にすごせるため、仕事を円滑に回すため、家族のため、と優先順位が”自分以外”になってきます。
自分のための時間は、あえて意識しないと、なかなか作れないんですね。

ですが、親自身が自分のための時間、自分のための息抜きができるようになると、子どもが親の不機嫌を察する必要がなくなり、よりのびのびと過ごせるようになります。

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親が自分を優先する姿を見せられると、子どもは自然と“自分の気持ちを大事にすること”ができるようになります。
自身のイライラや疲れが自覚できているときは、「今ちょっと疲れているからお風呂のあとね」「仕事のことでイライラしているから今日は早く寝るね」などと伝えられると、子どもはより安心しやすくなるでしょう。

「いい親でなければいけない」「いつも通り振舞わなければいけない」
少しでもその気持ちを手放して「こんなに頑張ってるんだから自分を思い切り甘やかそう」と思えると、家族全体の空気がぐっと和らぎます。

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親が自分を大切にすることは、子どものロールモデルとなり、子どもの気疲れ・家族全体の雰囲気にもプラスに働くんですね。
「察されなくていい親」になるのが、「察しあわない親子関係」に繋がります。
親である前に一人の人間であることを忘れず、少しでも肩の力を抜いて過ごしていけるといいですよね。

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