ここが見どころ!
本作をサクッと説明すると……お尻にタッチすると過去が見えるという能力を持った獣医・イェブンと熱血刑事ジャンヨルが、農村での事件を通して親密になっていく様子を描いたミステリー仕立てのラブコメディです。
ヒロインはハン・ジミン演じるイェブン。祖父の後を継ぐべく獣医になったものの、その腕は微妙。ある日、落雷に遭い(!)、人や動物の過去が見えるという超能力に目覚めるものの、対象のお尻に触らなければ発揮されないという難儀な設定に脱力(笑)。そんなヒロインの能力をいち早くかぎつけたのが、イ・ミンギ演じる熱血刑事のジャンヨル。小さな町に左遷された彼は、早くソウルに戻りたいという気持ちから、ほぼ無理やりに彼女を巻き込んで事件を解決していく。
といっても農村の事件といえば、やれジャガイモがなくなっただの、下着が消えただので、シリアスさゼロ(笑)。そんな中、被害者らが包丁でめった刺しにされるという連続殺人事件が!……にもかかわらず、緊張感はゼロ(!)。殺人事件の被害者は増えていくのに、物語の空気は重くならない不思議。終始コメディタッチで描かれているせいなのか、視聴者はサクサクとスナック感覚で観れてしまうのが、この物語の一番凄いポイントなのかもしれません。
そして、犯人のお尻を追うこと(=事件解決)で距離が縮まっていく二人の“♡”の距離にもご注目ください。
なお、本国での原題は『힙하게(ヒッパゲ)』。ヒロインの能力から、英語の「hip(おしり)」由来なのは一目瞭然ですが、実は韓国語にも引っ掛けてるんです。
韓国には英語の「hip」に由来する「힙하다(ヒッパダ)」という俗語があり、その意味は「個性的センスをいかしつつ、流行の最先端をいく」。つまり「イケてる」「カッコいい」「おシャレな」と訳されるわけですね。それを踏まえてドラマを観ると、とても意味深いです。
一般的に、農村の日常は「オシャレ」とは程遠い。しかし、「お尻を触って過去を見る」という個性的な能力で、コミカル時々シリアスに事件を解決しながら愛を育んでいく二人のラブラインは、まちがいなく「イケてる」し「カッコいい」。
次回作……があるかどうかはわかりませんが、二人が農村を飛び出し、大都市(釜山とか?)でヒップに活躍する作品を、強く希望します!
配信サイト
『ヒップタッチの女王』
全16話
Netflixシリーズ「ヒップタッチの女王」独占配信中
03.唐揚げになった娘を救え!ぶっとんだ設定&名優たちの演技力に魅せられる『タッカンジョン』
『タッカンジョン』
全10話
出演:リュ・スンリョン、アン・ジェホン、キム・ユジョンほか
Netflixシリーズ「タッカンジョン」独占配信中
あらすじ
チェ・ソンマン(リュ・スンリョン)が経営する「モドゥン機械」に届いた不思議な機械によって、ソンマンの一人娘チェ・ミナ(キム・ユジョン)がタッカンジョンに変身してしまう。ソンマンはミナを人間の姿に戻す方法を探るため、部下のコ・ベクジュン(アン・ジェホン)と奇妙な大冒険に乗り出す。
ここが見どころ!
本作は、韓国の同名ウェブ漫画を原作としたミステリーコメディ。韓国で観客動員数1,600万人を突破したメガヒット映画『エクストリーム・ジョブ』(2019)のイ・ビョンホン監督が脚本・演出を務めました。
ドラマのタイトルでもある「タッカンジョン」は、韓国でおやつとして昔から親しまれてきた「甘辛タレを絡めた鶏のから揚げ」のこと。謎の機械に足を踏み入れた愛娘が人間からタッカンジョンに姿を変えてしまうという、なんともぶっ飛んだストーリーです。
愛する娘を取り戻すために奮闘するソンマン役には、リュ・スンリョン。前述の『エクストリーム…』で潜入捜査の一環としてチキン屋を経営することになる主人公を演じており、今作でイ・ビョンホン監督と夢の再タッグ!彼がチキン関連のキャラクターを演じるのはこれで3度目(!)。韓国のバラエティ番組で「鳥類専門俳優です」と自己紹介するなど、本人もチキンとの親和性を楽しんでいるようです(ハマり役が新種すぎる)。
娘ミナ(タッカンジョン)を大事そうに抱えるソンマン(リュ・スンリョン)。
ミナに想いを寄せるソンマンの部下ベクジュンを演じるのは、『マスクガール』(2023)での怪演が記憶に新しいアン・ジェホン。イ・ビョンホン監督の初ドラマ『恋愛体質〜30歳になれば大丈夫』(2019)に出演しており、彼も再タッグ。この3人が集まったというだけで、面白さは保証されたも同然です。
いつも同じコーデのベクジュン(アン・ジェホン)。作詞作曲が趣味。
ミナがタッカンジョンに変わる瞬間を目撃していたベクジュン。最初は信じなかったソンマンも、彼の深刻な表情を見て状況を飲み込み、2人は内密に人間に戻す方法を模索することに。しかし、一口サイズであるせいで普通のタッカンジョンと混ざってしまったり、食べられそうになってしまったりと次から次へとハプニングが勃発! そのたびに必死の形相で「ミナ~!!!」と叫び、全力でタッカンジョンを守るソンマンたち。シュールな描写がくすっと笑いを誘います。
軽快なコメディパートが続く一方で、謎の機械を届けた人が死んだことが発覚したり、キーマンである研究者が失踪したりと、どこか不気味な空気も漂っていてハラハラ。笑いと緊張が交差する展開は、まさに甘辛いタッカンジョンのようです。
物語は後半に行くにつれ、さらにカオスになっていきます。「なんのこっちゃ」な展開が続くのですが、ユーモアの中に「現代社会を風刺している?」と思わせるようなシリアスな面もあり、観賞前と観賞後の印象が大きく異なる作品でした。
イ・ビョンホン監督作品の魅力である、独特なセリフの掛け合いも健在。1話30分ちょっとでサクサク進むので、最初は軽く楽しみながら、2回目はセリフの掛け合いやさまざまなドラマ・映画のオマージュを味わいながら、3回目は本作に込められたメッセージを考えながら……と見直したくなる作品です。