こんにちは、ヨムーノ編集部です。
日本人の国民病ともいえる肩こりは中高年や高齢者だけでなく、10代、20代の若者たちも悩まされています。
ここでは、体幹ストレッチインストラクターの吉田佳代さん著、医学博士川本徹さん監修「その不調、背中ストレッチが解決します。」(出版社:アスコム)の中から一部を抜粋・編集して、しつこい肩こりを根本から改善「背中ストレッチ」についてご紹介します。
背中握手で肩こり知らず
男女別有訴者(ゆうそしゃ)ランキングで、男性2位、女性1位。
厚生労働省の国民生活基礎調査(平成28年)による「肩こり」の順位です。
日本人の国民病ともいえる肩こりには、中高年や高齢者だけでなく、10代、20代の若者たちも悩まされています。
ところが、その改善策といえば、肩をこぶしでトントン叩くか、手のひらでマッサージするか、大きく背伸びをするか、……。
筋肉が多少ほぐれて、少しだけ症状が軽くなりますが、あくまでも一時しのぎ。肩がこる原因を解決していないのですから、しばらくすると、また肩がこってきます。
肩こりがやっかいなのは、何度もこりの症状が出るようになるとストレスになり、同じ症状でも強く感じるようになることです。
「ちょっと肩が張ってきたな」と思うだけで集中力が途切れるようになり、仕事にも影響するようになります。そんなしつこい肩こりを根本から改善するのが、肩甲骨をほぐしてやわらかくする「背中ストレッチ」です。
肩こりの原因は諸説ありますが、肩こりになりやすい人の肩甲骨はバリバリに硬くなっていると思います。
デスクに座ってパソコン作業をしたり、スマホをしばらく眺めるだけで、すぐに肩こりの症状があらわれるのは肩甲骨が硬いから。
だから、前かがみの姿勢になるだけで背中や肩の筋肉に負担がかかるのです。
もちろん長時間同じ姿勢をとっていると、誰でも肩や背中はこりますが、肩甲骨が硬いとすぐにこってくるのです。
背中の筋肉(僧帽筋)の奥側にある、肩甲骨を支える菱形筋(りょうけいきん)の動きが悪くなると、肩甲挙筋(けんこうきょきん)という肩の筋肉や僧帽筋が頑張ることになります。
肋骨の脇にある前鋸筋(ぜんきょきん)が硬くなると菱形筋に負担がかかり、さらに肩と背中の筋肉が頑張らなければいけなくなります。
筋肉は頑張り過ぎると血行不良に陥り、筋肉内に疲労物質を溜めるようになります。
これが肩や背中がこるメカニズム。そして、疲労物質が溜まり過ぎて筋肉の外にも溜まるとやがてかたまりとなり、神経を刺激して痛みを感じるようになります。
肩がこるのは、元をたどると肩甲骨まわりの筋肉が硬くなっているからです。
背中ストレッチでほぐして、肩甲骨をいつも柔軟にしておけば、前かがみの姿勢がしばらく続いたとしても肩がこることはなくなります。
また、肩甲骨まわりがほぐれると、丸まっていた背中を元の真っすぐな状態に戻せるし、その姿勢の維持を心がければ、肩甲骨まわりが硬くなることはありません。
背中握手ができるようになると、肩こりとさよならできるのです。
四十肩・五十肩を治したいなら背中ストレッチ
「肩が痛くて腕を上げられない」「腕を自由に動かせない」「寝返りを打つと激痛が走る」……。
肩の違和感や引っかかり、こわばりを放っておくと発症する四十肩・五十肩。
なかには、起きたら突然、肩が上がらなくなったという方もいます。
医学的には、肩関節周囲炎と呼ばれています。
まだ完全に解明されているわけではありませんが、肩関節や肩のまわりの筋肉が硬くなることが痛みの原因ではないかといわれています。
肩関節は、肩甲骨と連動して動く関節ですから、肩甲骨まわりの硬さが影響しないわけがありません。それどころか、肩甲骨まわりが硬くなることも、四十肩・五十肩の原因ではないかといわれています。
その理由のひとつは、肩こりのところで話したように、肩甲骨まわりが硬くなると、肩まわりの筋肉を酷使することになるからです。
もうひとつは、肩と肩甲骨の構造上の問題。肩甲骨が外に開いたままの状態で硬くなると、腕を上げたときに腕と肩の骨がぶつかりやすくなるからです。
四十肩・五十肩の症状を軽減したい、もしくは予防したいなら、まずは背中ストレッチで肩甲骨をやわらかくすること。それだけで肩の負担が格段に小さくなります。
ただし、四十肩・五十肩は動かしていい時期と動かしてはいけない時期があります。
痛みがある場合は、まず専門医の診断を受けてから背中ストレッチをはじめるようにしてください。
動かしてもいい時期なら、背中ストレッチを行うことで早期改善につながることがあります。